文藝春秋 電子版

私はなぜ死刑囚の養子になったか

小野 一光 ノンフィクションライター
ライフ ライフスタイル

4人殺害の実行犯が塀の中で求めた関係

北村孝紘死刑囚 ©筆者提供

 現在、死刑囚という立場にある人物が、養子縁組をした親族との“外部交通”を妨害されたとして、国を相手どった裁判を起こしている。

 原告の名は「C(原文実名)孝紘」。このCは、彼が養子となった相手の苗字。旧姓は北村であり、事件発生時の氏名は北村孝紘だった。

 孝紘は04年9月に福岡県大牟田市で発生した「大牟田連続4人殺人事件」の犯人の1人で、確定死刑囚として福岡拘置所に収容されている。

 この「大牟田連続4人殺人事件」は、暴力団「北村組」を率いる北村家の父、それに母、長男、次男という家族4人で、知人母子3人と息子の友人の計4人を殺害し、全員に死刑判決が下されたという、前例のない特異な事件だ。北村家の次男である孝紘は、犯行当時20歳3カ月で、被害者4人全員を自らの手で殺めた実行犯。私は一審判決前から孝紘と面会をするようになり、長年にわたって交流を続けてきた。

 孝紘の死刑が確定したのは11年10月。死刑が確定すると、基本的に親族や一部の弁護士を除く第三者とは、面会や手紙のやりとりといった“外部交通”が制限される。そのため、確定前は頻繁に面会や手紙のやり取りをしていた私も、確定後は彼との一切の交通を絶たれている。

 その孝紘が、国家賠償等請求事件として、国を訴えたのだ。

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source : 文藝春秋 2023年2月号

genre : ライフ ライフスタイル