日本を震撼させた平成の凶悪事件。事件後に流れた歳月は犯人・遺族の心境にどのような変化をもたらすのか。ノンフィクションライター、小野一光氏が現場を歩く。今回は「平成18年 秋田児童連続殺人事件」篇の第2回(全4回。第1回から読む)。
2006年4月から5月にかけて、秋田県藤里町で自身の娘である小学4年生のAちゃん(当時9)と、近隣に住む小学1年生のBくん(当時7)を殺害した「秋田児童連続殺人事件」の畠山鈴香(逮捕時33)。
彼女は同年6月4日にBくんの死体遺棄容疑で逮捕され、その後、Bくんの殺人容疑、Aちゃんへの殺人容疑で再逮捕された。
4月10日に自宅から約10㎞離れた藤琴川の浅瀬で死亡しているのが発見されたAちゃんについて、秋田県警は当初、事故との扱いをしていた(後に秋田県警は「事件と事故の両面で捜査中であった」と否定)。そのため鈴香は娘を亡くした悲劇の母を装った。しかし、Aちゃんの死の真相が母による殺人だったことで、7月18日の再逮捕を受け、捜査本部が午後2時15分から行った記者会見には、記者、カメラマン約110名が出席した。
秋田県警本部刑事部長の記者会見
会見には秋田県警本部の刑事部長、能代署の署長、秋田県警本部の捜査一課長が出席し、主に刑事部長が回答を行っている。
刑事部長はまず畠山鈴香の名前と住所を読み上げ、それから次の言葉が続く。
「本日午後1時に殺人容疑で逮捕。
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source : 文藝春秋