ゼネコンと反社の癒着は終わっていない

新連載 第2回

市田 隆 朝日新聞記者

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関西建築現場の宿痾「サバキ」とは

 大阪国税局で規模の大きい法人を担当する調査第二部。ある調査官のチームは2019年ごろ、通常の手順通りに事前通告したうえで、大阪府内のマンション開発会社を税務調査した。この会社は数十棟のマンション建設を関西一円で手がけ、順調に売り上げを伸ばしていた。

 調査官たちは社内の一室に陣取り、提出された数年分にわたる会計帳簿などの資料をチェックし続けた。すると、同社の経理に問題点が複数見つかった。海外法人に送金された多額のカネが架空の経費である疑いが浮上したのだ。

 調査官の追及に対して同社役員は架空経費であることは認めたものの、使途がはっきりしない5000万円の支出については説明を渋り続けた。支払先は警察OBが営む兵庫県のコンサルタント会社だった。

 だが、根負けした役員は諦念を滲ませた表情で、5000万円を支出した裏の事情を打ち明けた。

「大阪市内のマンション建設現場で暴力団関係者とみられる人物から工事を邪魔する横やりが入って、暗に金銭を要求してきた。こんなんでヤクザに邪魔されて、工事が遅れたらかなわんのです。だから、警察OBに間に入ってもらって、解決してくれるように頼んだんです」

 調査官らはこのコンサルタント会社に出向き、警察OBに事情を聴いた。このOBは警察に在職時、暴力団対策担当が長かった。そのキャリアを生かして退職後に会社を立ち上げ、暴力団絡みのトラブルに巻き込まれた会社の相談に乗るなどしていた。OBは調査官に対し、マンション開発会社からの現金5000万円の受け取りを認め、「工事妨害を防ぐための近隣対策費に使った」と話した。「近隣対策費」とは、建設現場周辺を地元とする暴力団関係者への資金提供などのことだ。このOBの働きが功を奏したのか、工事妨害はなくなったという。

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source : 文藝春秋 2026年8月号

genre : ビジネス 社会 企業