「『“右翼”雑誌』の舞台裏」梶原麻衣子さんインタビュー

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梶原麻衣子氏(本人提供)

 過激な見出しのウラに潜んだ、保守論壇への責任感が分かる一冊である。

 2005年から約13年間、花田紀凱編集長の「月刊WiLL」と「月刊Hanada」に所属した編集者・ライターの梶原氏。大学時代から「諸君‼」「SAPIO」を愛読する“右翼少女”だった。

「携帯電話に旭日旗のシールを貼っていた私は、WiLL編集部内でも最右翼と言われていました(笑)。仕事は激務で、現場は2、3人の時期が長く、月に100ページ近くを担当するのがザラ。〆切直前に取材して、文字起こしと原稿執筆を経て24時間後には校了。と、こんなことも一度や二度ではありません。それでも、毎月が文化祭のようで楽しかったし、安倍晋三氏ら保守派の大物とも直接会えた。天職とはこのことか、と」

「WiLL」は朝日新聞批判が人気を博して10万部を突破し、花田氏は「“瞬間風速”なら『文藝春秋』の部数を抜ける」と意気込んだ。16年の「Hanada」創刊後も好調が続く一方、梶原氏は「ウチが保守論壇を担えるのか」と感じていた。

「カウンターメディアとして朝日新聞の逆を主張してきましたが、次第に自分が尖閣問題などで論争の歴史を踏まえていないと感じるように。それでも、〈哀れな三等国、韓国〉など過激な見出しが付く。国連の任務で弾薬が不足した韓国軍が日本に貸与を依頼した時は、兵士の命が危ないのに、読者から『アイツらに貸すなんてありえない』と編集部に電話があったことも。『ここまでの嫌韓を招いたのか』と、責任を感じました」

梶原麻衣子『「“右翼”雑誌」の舞台裏』(星海社新書)1375円(税込)

 17年には森友学園の籠池泰典理事長に5時間半、独占取材したが、その後の籠池氏の「安倍氏に100万円もらった」発言で「あんないい加減なことを言う人の記事は載せられない」と、不掲載に。次第に、編集方針とのズレも生じていった。

「決定打は、憲法改正のために安倍氏を応援していたのに、『安倍氏は主張とは異なり、政策的には憲法改正を進めていないのが賢い』という趣旨の論考が載ったこと。過労と体調不良もありましたが、この号の校了作業直後に倒れ、免疫異常で入院。しばらく休職しました。怒り過ぎて免疫が暴走したのかな、と(苦笑)」

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source : 文藝春秋 2025年2月号

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