〈日本の自動車、半導体が危ない〉トランプ大統領の世界貿易戦争

総力特集 トランプ帝国の逆襲

池田 祐久 A&O Shearman日本代表
柯 隆 エコノミスト
久保 鉄男 世界自動車産業アナリスト
グレン・S・フクシマ 米国先端政策研究所上級研究員

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 フクシマ いよいよ、ドナルド・トランプ氏がアメリカ合衆国大統領に返り咲き、「トランプ2.0」がスタートします。私の住むワシントンでも、政権誕生以前から彼の経済政策に関して活発な議論が展開されています。プラス、マイナス両面がありますが、企業活動、富裕層にとっては都合の良い政策が多い。個人・法人の大型減税や規制緩和などです。かつて米国通商代表部(USTR)で働いていた身としては“関税大好き人間”を自称するトランプ氏が果たして言葉通り実行に移すのか。関心をもって見ています。

 久保 彼は選挙に勝利した約3週間後の11月25日に突如、「メキシコとカナダからの輸入品に25%、中国からの輸入品には10%の追加関税を就任初日に課す」とSNSで発表しました。日本も含めて世界中に衝撃が走りました。

トランプ次期米大統領 Ⓒ時事通信社

 池田 トランプ氏は2023年、ニュース番組のインタビューで「独裁者にはならない。初日を除いて」と宣言していました。つまり、就任式がある1月20日の“DAY1”を盛り上げるための準備に余念がありません。最大の標的とされる中国政府の受け止めはどうでしょうか?

 柯 北京はいま、物凄く混乱していますよ。ただ、選挙戦で公言していた中国への「60%関税」はブラフであって真に受ける必要はない、発動しないだろうというのが中国の専門家の一致した見解のようです。希望的観測かもしれませんが。

「トランプ関税」は発動するか

 久保 日本の自動車業界にも大きな影響が出そうです。私どもの調査会社は1980年、ちょうど日本車叩きで輸出自主規制が始まった頃からアメリカの自動車産業について調査を行ってきました。技術、法規、そして関税の最新動向ですね。日本の自動車産業にとってアメリカは一番のドル箱市場ですから、これまでも貿易交渉の材料として常に“人質”に取られてきました。しかし、今回ばかりは相当厳しい状況になるかもしれない。

 フクシマ 一方で米国市場がトランプに寄せる期待感には並々ならぬものがあります。当選後は一気にドル高、株高が進みました。彼の政策が実現されることを見越した取引、いわゆる「トランプ・トレード」が活発です。

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source : 文藝春秋 2025年2月号

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