「10年間、勝っていません」プロゴルファーの娘が求めていたもの
自分は娘に厳しくし過ぎてしまったかもしれない。ずっとそんな思いを持っていました。
現役当時は家を空けることが多く、試合後の帰宅は子供たちが寝床についた後でした。我が家はすべて私が勝つことを中心に回っていて、私が投げる試合をテレビで見るとき、妻は子供たちを正座させていたらしいです。私もしつけは厳しく、特に長男・阿須加と長女の遥加には正直、手をあげたこともありました。
遥加がゴルフを始めたのは、中学校1年生の頃でした。普段会わない私と会話がしたかった、それが理由だった。中学を卒業する頃にはプロ志望になり、18歳のときにプロテストに合格。私の娘ということで至れり尽くせりのサポートを受けていると思われがちですが、3年前までは殆ど何もしていません。

娘がプロになる前も、プロになってからも、親としてのサポートは全くと言ってもいいくらいに何もせず、どこか一線を引いていました。自分で考えもがくことが良いと思っていたからです。
私は2015年から7年間、ソフトバンクで監督を務めましたが、その間、若い選手たちと接してみて、わかったことがたくさんありました。称賛、𠮟責、熱血指導……彼らが求めているものは、それぞれ全く違った。私は誰に対しても変わらぬ態度で「お疲れさん」と声をかけることが重要だと知りました。
娘が求めていたのは「共感」でした。監督の経験がなければ気付けなかったかもしれない。苦しんでいる娘を横目で見て、それまでもいろんな思いがありました。彼女には何が足りないのか。アドバイスしたい気持ちもありました。ですが、彼女が自分から話し出すまで、こちらからは何も言うまいと決めていました。
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