2025年1月5日から放送がスタートするNHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺(つたじゆうえいがのゆめばなし)~』。横浜流星が演じる主人公、蔦重こと蔦屋重三郎(つたやじゆうざぶろう)は、江戸時代中期に浮世絵師の喜多川歌麿や葛飾北斎、戯作者の山東京伝、読本作者の滝沢馬琴や、謎の絵師・東洲斎写楽らを世に送り出した出版業者(版元)だ。しかし現存する史料は少なく、その足跡には不明な点も多い。
本作品で主人公の妻を演じる橋本愛さんと、蔦重研究の第一人者で、ドラマの時代考証・指導を担当する鈴木俊幸さんが語り合い、謎に包まれた男の人物像に迫った。
鈴木 橋本さん、大河ドラマって、他のお仕事とは何か違うものなんですか?
橋本 撮影が長期間続くので、役柄や周囲の登場人物に特別な感情を抱くようになりますね。たとえば『青天を衝(つ)け』(2021年放送)では渋沢栄一さんの奥様を演じたんですけど、おかげでいま1万円札を見ると親近感が湧きます(笑)。
鈴木 それはありがたい。蔦屋重三郎(蔦重)のこともよろしく頼みますよ(笑)。
橋本 責任感を持って演じたいと思います。ただ、恥ずかしながら、今回のドラマのお話をいただくまで、蔦重さんについてほとんど何も知らなかったんですね。ですから今日は、基本的なことを含めて、色々と教えていただけたら嬉しいです。たくさんの本をヒットさせた出版プロデューサーのような人だったそうですが、そもそもどういった生い立ちなんでしょうか?
鈴木 吉原で生まれています。蔦重についての史料は少なくて、わからないことだらけなんだけど、江戸幕府公認の遊郭である吉原で生まれたことは間違いない。ここで注意しておきたいのは、我々が思い描く吉原と、江戸時代の人間が思い描く吉原は、全然違うっていうことですね。
橋本 そのように聞いています。
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