ステージ4のがん患者となったベテラン医療ジャーナリストが読者に伝えたいこととは――。手記「医療ジャーナリストのがん闘病記」(文藝春秋2023年7月号)が大きな反響を呼んだ長田昭二氏(57)が、「文藝春秋 電子版」オリジナル連載で、自身の病をレポートする。
この連載の第1回でも書いたが、僕は15年ほど前からマラソン大会に出場することを目的としたランニングを趣味としてきた。元々走ることが好きだったわけではないが、ある夕刊紙の企画で「ランニング未経験者でも正しいトレーニングを積めばマラソンは走れるのか」という連載を担当することになり、「Qちゃん」ことシドニー五輪女子マラソン金メダリスト・高橋尚子さんの指導を受けてランニングを始めたのがきっかけで、そのまま趣味になってしまったのだ。
Qちゃんのアドバイスは見事なもので、それまでまともに走れなかった僕はフルマラソンを完走できるようになり、海外や国内各地のマラソン大会に出るようになる。つまり、「走ること」が好きになったのだ。私的な旅行はもちろん、泊りがけの出張にも必ずランニングシューズとウエアを持参し、全国各地を走り回って来た。
しかし2年前、前立腺がんが背中の胸椎に転移していることが見つかった時、主治医で東海大学腎泌尿器科准教授の小路直医師からこう言われた。
「背骨に負担のかかる運動は、できれば控えたほうが安全です」
ただでさえホルモン治療として抗男性ホルモン剤を内服している僕は、骨粗鬆症が進みやすい。がんの骨転移がある状態で背骨に負担のかかる上下運動をすれば、圧迫骨折のリスクが高まる。
「一番良くないのが“尻もち”をつくこと。重い荷物を持つのも背骨にとってはよくありません。ランニングはクッション性の高いシューズを履いて走ればリスクは多少下げられますが、長時間走り続けることはお勧めできない。運動が目的ならウオーキングのほうが安全です」(小路医師、以下同)
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