温泉や釣りを楽しみ、1日の治療時間は数十分。アメリカや中国からも患者を呼び込む
午前7時、温泉で有名な地方のホテルの一室で目を覚まし、窓の外の長閑な景色を眺めながら着替えを済ませる。食事処で朝食をとった後、徒歩で向かうのはホテルに隣接するがん治療のための施設だ。指定された10時に受付を済ませ、体温・血圧測定、治療、看護師の問診とスケジュールをこなしていく。そして治療を終え、施設を出るのは1時間後。「今日はどこに観光に行こうか」と考えを巡らせながら、休憩のためにホテルに戻る――。
そんな夢のようながん治療が、国内のみならず、海外からも注目を集めている。お金に余裕があれば、レジャーを楽しみながらがん治療を受けられる時代が到来したのだ。
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医学の進歩により近年、がん治療の姿が大きく様変わりをしている。近年のトレンドとなっているのは、治療効果を高めながらも、患者が体に受ける負担を最小限に抑える「低侵襲治療」だ。がん治療と言えば、手術、化学療法、放射線治療が三本柱となっているが、いずれの領域でも低侵襲化が進んでいる。
実は、低侵襲ともっとも親和性が高いのが放射線治療だ。放射線治療は、手術のように体に傷がつくこともなければ、抗がん剤のように重い副作用に苦しむこともない。
放射線での治療中は、台の上に横になってビームを体にあて、何の苦痛を感じることもないまま、照射が終わればすぐに帰宅することができる。つまり、QOL(生活の質)を保ったまま、安全性と確実性の高いがん治療が受けられるのだ。
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source : 文藝春秋 2022年12月号