松竹伸幸氏(69)は、共産党本部の政策委員会メンバーとして安保外交部長などの要職も務め、党歴48年のベテラン党員だ。
『シン・日本共産党宣言』(文春新書)で「党首公選制」の導入を訴えたため、共産党から「除名処分」を受けたが、「除名の撤回」を求め、1月の党大会での「再審査」を請求していた。ところが共産党は「請求却下」を決定。これに対して氏は、3月7日、処分の取り消しを求めて東京地裁への提訴に踏み切った。
なぜ共産党は、松竹氏に対してこれほど頑ななのか──
〈共産党における訂正する力の欠如は、最近の除名問題でもあきらかです。古参党員でジャーナリストの松竹伸幸さんが、2023年のはじめに『シン・日本共産党宣言』という本で党首公選制の導入を訴えた。そうしたらたちまち除名されてしまった。党の綱領すら「訂正」できない〉
『訂正する力』(朝日新書)で、松竹氏の除名問題にもこう言及している批評家の東浩紀氏と徹底議論する。
松竹 「私は共産党員だ」と記した名刺を今回、新たにつくって、昨日から持ち歩いているので、東さんにもお渡ししますね。
東 昨日、訴状を出されましたね。
松竹 午前中に提出した後、記者会見を開きました。
東 共産党はさっそく声明を出しました。「松竹伸幸氏の提訴はまったく不当なものである。(略)政党が『結社の自由』にもとづいて自律的な運営を行うことに対し、裁判所の審判権が及ばないことは、(略)最高裁判決でも確認されている」と。
松竹 提訴の当日は、「訴状が届いていないので」とコメントするものなので、訴状を読む前に声明を出したところに意気込みを感じました。
1988年、共産党の幹部だった袴田里見さんの除名問題について最高裁は、処分が党規約に則っている場合は「司法審査に及ばない」との判決を出しています。党としては、この判例に依拠するつもりなのでしょう。ただこれは、30年近く前の判例です。公党のあり方は国民に関わる重大事ですから、最高裁判例を覆すことにこそ意味があると思って準備してきました。
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source : 文藝春秋 2024年5月号