『万物の黎明』デヴィッド・グレーバー、デヴィッド・ウェングロウ著、酒井隆史訳/光文社
『イラク水滸伝』高野秀行/文藝春秋
『北海道犬旅サバイバル』服部文祥/みすず書房
『万物の黎明』は副題のとおり、人類史の根本を覆そうという野心的な著作である。われわれには、社会は単純なものから複雑なものに進化したという根強い固定観念がある。狩猟採集社会は小規模で平等だったが、農耕がはじまることで階級差が生まれ、官僚制が発達して国家につながった。そんな常識をもっている。だが、最新の考古学的発見を真摯に見つめるとそれは間違いである。人類は農耕が生存に合理的だったからはじめたわけではないし、官僚制や国家の力に頼らず、合議的な自治組織で物事を処理する社会はたくさんあった。浮かび上がるのは複雑な諸問題を柔軟に解決しえた古代の人たちの創造的な姿、つまり新しい人間像だ。次々と提示される驚きの事実に常識が覆されるだけでなく、人間も捨てたもんじゃないという気持ちにさせられる希望の書でもある。
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source : 文藝春秋 2024年1月号