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★令和のモーレツ官僚
大きな話題を呼んだ岸田文雄首相の訪米時のスピーチ。担当したのは大鶴哲也首相秘書官(平成3年、外務省入省)だ。「官僚人生を賭ける」と周囲に語り、2カ月あまりの間、準備に傾注。高名な米国人スピーチライターの支援も受けて、ジョークやウィットに富んだ原稿を練り上げた。
議会演説冒頭で、岸田氏がNYでの幼少期の思い出を語った際にはアニメ「フリントストーン」に言及し、晩餐会の乾杯挨拶ではSFドラマ「スター・トレック」の名セリフ「前人未到の地へ、果敢に挑もう」を登場させた。米国人にも瞬時に伝わる人気番組を引き合いに出した草稿は、大鶴氏とスピーチライターで十数回の修正を行った。
訪米だけではない。低迷する内閣支持率とは裏腹に、首相を支える秘書官への評価は高まっている。とりわけ嶋田隆政務秘書官(昭和57年、旧通産省)への信頼は厚く、永田町絡みの政務を除く政策全般で助言。過密日程と激務は心配の声が上がるほどだ。
岸田氏が訪米から帰国した直後に官邸で行われた早朝の国会答弁レクは嶋田氏も同席予定だったが、これを“スルー”したとされる。時差の調整不備に疲労困憊が重なり、目覚ましのアラームにも気付かず、起きられなかったというのだ。「昭和のモーレツ社員」ならぬ「令和のモーレツ官僚」として日夜首相を支える理由について、嶋田氏はよく「“赤紙召集”された身だから……」と語る。
もう一人、信頼が厚いのが一松旬秘書官(平成7年、旧大蔵省)だ。一昨年、「防衛関連三文書改定」を巡り、総額43兆円の防衛費財源問題で汗をかいた。今国会で成立を目指す最重要法案「子ども・子育て支援法改正案」も一松氏マターである。
嶋田氏だけでなく、秋葉剛男国家安全保障局長(外務省)も、一松氏の能力を高く評価する。防衛・安保政策の財源問題から子ども・子育て支援法改正案の建て付けまで一手に引き受ける一松氏の激務は嶋田氏以上である。
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