金融庁の本命と対抗 ビッグモーター問題で共闘、「ともに1963年生まれ」長官と局長の去就

霞が関コンフィデンシャル特別編

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 2023年9月19日午前9時、ビッグモーター多摩店の前にスーツ姿の男が4人立っていた――。 

 翌月から本社となったこの店舗に足を踏み入れたのは、金融庁の検査官たちだった。その約1時間後、損保ジャパン本社と持ち株会社の入る、西新宿の43階建て高層ビルにも検査官たちが立ち入った。保険金不正請求問題を受けて、金融庁が行った立ち入り検査である。

ビッグモーター多摩店への立ち入り検査 Ⓒ時事通信社

 この模様は大々的に新聞、テレビで報じられたが、金融庁の検査では極めて異例のことだ。通常なら情報を出さない金融庁が、メディアに立ち入り検査のタイミングを密かに伝え、写真や映像を撮らせたのである。

 この案を練ったのが、ビッグモーター問題に強い関心を寄せていた金融庁長官の栗田照久(昭和62年、旧大蔵省入省)と、保険会社を監督する監督局長・伊藤豊(平成元年、同)だ。早くも、2024年夏の定期人事異動でその去就が注目される2人である。

長官と局長を隔てる60歳定年のライン

 大蔵・日銀接待事件を受けて「財金分離」が決まり、金融監督庁(現・金融庁)が発足したのは1998年6月。以来25年を経て、金融庁では中途採用を含めて多様なキャリアを持った人材を受け入れてきた。そのため財務省と接点を持たない世代が企画官、課長補佐の大半を占めるようになった。もちろん、仕事の進め方は財務省のような「単一民族型」の方がスムーズだ。

 しかし、日進月歩の金融技術や銀行業務への対応力を高めるには、民間出身者の持つさまざまな経験を活かすことが有効な手段となる。かつて金融界を震え上がらせた検査部隊は、いまや民間出身者が主力となっているのだ。

 そんな金融官僚たちを指揮するのは、2023年夏、長官に就任した栗田である。

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source : 文藝春秋 文藝春秋電子版

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