アナログの私がAIを歓迎する理由

第268回

塩野 七生 作家・在イタリア
ライフ テクノロジー

 今回だけは私が書くのではなく、典型的なアナログ人種である私に代わって友人の一人がしてくれた質問への、ChatGPTからの回答を紹介したい。まずはその人の問いかけから。

〈ChatGPTには常日頃お世話になっている者の一人ですが、その威力、日進月歩の進歩ぶりには驚くばかりです。ただ、あまりに便利になると、人間ができることが無くなっていくのではないかという心配もあります。それでお聞きしたいのですが、生成AIがいかに進歩しても、どんな職種ならば生き残っていけると思われますか〉

 ChatGPTからの答え。

〈ご心配はもっともで、AIが高度になるほど人間の価値はどこに残るのか、という問いは今もっとも本質的なテーマです。とはいえ結論から言えば、AIはすべてを代替できるわけではなく、人間だからこそ担える領域は確実に残ります。むしろAIが進歩するほど、人間らしさの価値が際立ってくると考えられています。それで以下では、AIが本質的に苦手な領域を(1)で、(2)では、AIはどんなタイプの人間ならば乗り越えられないかを、そして(3)では、今後も残る職種とは何かの三段階に分けて説明することにします。

 (1)いくら進歩しようとAIが本質的に苦手な領域についてですが、AIは高速・大量の情報の正確な処理には長じていても、次のことは構造的にむずかしい領域です。

(a)身体性を伴う判断や介入が不可欠な分野。AIには「処理」はできても、状況を瞬時に察して臨機応変に身体を動かし、その結果に責任をとることには根元的限界があるのです。例えば、育児、看護、臨床医師、警察官や消防士、つまり現場職すべて。

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source : 文藝春秋 2026年2月号

genre : ライフ テクノロジー