『君たちはどう生きるか』作画監督が明かす宮﨑駿監督の第一声
本田 アカデミー賞受賞が発表されたとき? ウチにいましたよ。朝8時半過ぎだったので、そんなに早くに出社するのもイヤなんで(笑)。テレビ中継も観ていなくて、受賞は友達からのお祝いのLINEで知りました。「あれ、もう決まったの?」って感じでした。
3月11日(日本時間)、第96回アカデミー賞の受賞作品が発表され、宮﨑駿監督(83)の『君たちはどう生きるか』が長編アニメーション賞を受賞。宮﨑監督にとっては2003年の『千と千尋の神隠し』に続き2度目。日本でも大ヒットとなった『君たち』だが、昨年12月にはアメリカ、カナダでも公開され、2週間で2651万ドル(約38億円)近い興行収入を記録。スタジオジブリの作品では北米で過去最高額を達成した。
今年1月には、アカデミー賞の前哨戦ともいわれるゴールデングローブ賞を日本作品で初めて受賞。2月には“アニメ界のアカデミー賞”と呼ばれるアニー賞で、長編部門の絵コンテ賞とキャラクターアニメーション賞に輝いた。
本誌では作画監督を務めたアニメーターの本田雄氏(56)に昨夏以来のインタビュー。映画賞総なめの舞台裏を聞いた。
――本田さんが(アカデミー賞の)授賞式の現地に行くという話はなかったんですか?
本田 だって、飛行機代だってけっこうかかるじゃないですか。この賞は宮﨑駿監督と鈴木敏夫プロデューサーに贈られた賞ですから、僕が授賞式に行くのも変でしょう(笑)。
あの日は普段通り、午前11時くらいに出社して、お昼過ぎには宮﨑さんも来ていました。目が合うと、こちらにやって来て「おめでとう」って言うんです。いやいや、あなたでしょ、って感じで(笑)。「こちらこそおめでとうございます」と返しましたよ。内心喜んでいるとは思うんですが、あまり表情には出していませんでしたね。いつもと変わらない様子で、パノラマボックス(絵の描かれた板を重ねて作る展示物)のための絵を描いていました。(アカデミー賞は)初めてじゃないですし、派手に祝賀会をやるという社風じゃないので(笑)。ちょっとシャンパンを開けてお祝いしたというくらいでした。
前回のインタビューから約8カ月が経ちましたが、僕はこの間に国内外の様々な賞の授賞式やイベントに参加しました。ロサンゼルスで開かれたアニー賞の授賞式にも出席したし、昨年秋には、フランスのナントで行われたアニメイベントのパネルディスカッションにも登壇しました。
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