3月11日、第96回アカデミー賞において宮﨑駿監督『君たちはどう生きるか』が長編アニメーション賞を受賞しました。宮﨑監督にとっては2003年の『千と千尋の神隠し』以来、2度目の受賞となり、現地時間10日にロサンゼルス・ハリウッドのドルビー・シアターで授賞式が行われました。
これを記念し、『君たちはどう生きるか』の作画監督を務めたスタジオジブリのアニメーター・本田雄氏のインタビュー(前編・後編)、同作の公開前に行われた鈴木敏夫プロデューサーの出演した文藝春秋ウェビナー、またアニメへの造詣も深い朝日新聞記者・太田啓之氏の考察も含め、『君たちはどう生きるか』の世界を深く知るための記事を一挙掲載します。
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「宮﨑駿監督との真剣勝負」
本田雄
「これは冒険活劇です」。宮﨑駿監督にそう言葉をかけられたことが、同作の出発点だったと作画監督・本田雄氏は振り返ります。6年にもわたる制作期間のなかで、「サギの飛翔」や「魚の内臓」など、作品を彩る細部の豊かさはどのように生まれたのか、本田氏が語り明かします。
「宮﨑駿監督と庵野秀明監督」
本田雄
『君たちはどう生きるか』で作画監督を務めた本田雄氏は、作品のオファーを受ける前には、庵野秀明監督の『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の作画監督を務めることが内定していました。どちらを選ぶかの岐路に立たされ、最終的に前者を選んだ本田氏ですが、庵野監督の『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズは、本田氏の道のりを語る上では決して外せないもの。その影響はどのようなものだったのでしょうか。
【フル動画】「鈴木敏夫はどう生きるか」
鈴木敏夫×新谷学
『君たちはどう生きるか』は、公開前には広告やCMなどの宣伝は一切行わず、事前情報はタイトルとポスター1枚のみでした。そのような「戦略」の背景にあったものは。鈴木敏夫氏が作品の出発点や、はじめて宮崎駿監督に会った時のエピソードなどを語りました。
「鈴木敏夫はどう生きるか」
鈴木敏夫
『鈴木敏夫とジブリ展』という展覧会が行われたことからもわかるように、鈴木氏はジブリを語る上では決して外せない存在。『君たちはどう生きるか』の製作において鈴木氏が本田雄氏を引き抜いた理由から、徳間書店に在籍していた時代のエピソード、また自身の人生哲学まで、存分に語り尽くしました。
「なぜ傷が『悪意のしるし』なのか? 映画『君たちはどう生きるか』の謎を解く」
太田啓之
「映画の完成度よりも新たな挑戦を目指す宮﨑駿のエネルギーと気概は、宮﨑映画の中でも最高のみずみずしさをこの作品に与えている」と作品を評する太田啓之氏。氏は主人公・眞人の額の傷に着目し、宮崎監督の「新たな挑戦」を考察していきます。
「《巨石が統べる異世界の正体》映画『君たちはどう生きるか』の謎を解く」
太田啓之
映画の後半で重要となる“石”の存在。日本の歴史と重ね合わせての“石”への考察と、吉野源三郎『君たちはどう生きるか』との関連性などについて、太田氏が論を展開していきます。
source : 文藝春秋 電子版オリジナル