「感謝の言葉が足りませんでした」斎藤元彦・前兵庫県知事が語った失敗と反省【11月号先行公開】

斎藤 元彦 前兵庫県知事

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渦中の前知事が70分にわたり語ったのは――

 9月19日、私の不信任決議が全会一致で可決されました。県議会の判断ですし、私自身も非常に重く受け止めました。これは記者会見などで何度も言っていることではありますが、県政の今の状況を招いているのは私の力不足ゆえです。本当に県民の皆さんにお詫び申し上げたい。そして、元西播磨県民局長のXさんの死去については大変つらく、心から哀悼の意を捧げたいと思います。

 この不信任決議を受け、9月30日付で知事を失職し、出直し選挙に臨む決断をしました。辞職という選択肢も一瞬、頭をよぎりましたが、この仕事をまだ続けさせていただきたい。そして緒に就いた改革をやり遂げさせていただきたい。そのために私が知事として適格かどうか、県民の判断を仰ぎたいのです。

 7月7日に亡くなったXさんとこのような関係になるとは、夢にも思いませんでした。実は、私は知事になる以前からXさんと付き合いがありました。2013年7月から総務官僚として宮城県に出向し、総務部市町村課長と財政課長を務めていた際、東日本大震災復興の応援で兵庫県が職員を派遣してくれました。この派遣事業は兵庫県の人事課が担当していて、その縁でXさんと知り合ったのです。

 それから彼とは何度か会いました。食事を一緒にする機会もあり、非常にざっくばらんで明るい人、という印象でした。もちろん、仕事にもしっかりと取り組んでくださった。3年前に私が知事になった際も、西播磨県民局長になったばかりのXさんが地元のことをあれこれ教えてくれた。とても信頼できる方だったのです。

斎藤前知事 Ⓒ文藝春秋

Xさんから話を聞きたかった

 それだけに、「齋藤元彦兵庫県知事の違法行為等について」と題された文書の出所がXさんと判明した時は、大きなショックを受けました。

 どうして匿名の文書を不特定多数に送るのか……。改善してほしい点があるのならば、直接「知事、ここは直すべきです」と言ってほしかった。「立場が上の知事にそんなことは言えない」という意見もあると思いますが、Xさんとは10年以上の付き合いだし、県の局長クラスですから、臆することなく進言できたはずです。それなのになぜ……彼ともっとコミュニケーションを取っておけばよかった、という思いは何度も胸に去来しました。

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source : 文藝春秋 2024年11月号

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