党本部の点検調査は何だったのか
今回の第50回衆院選は、与党が過半数割れと15年ぶりの大敗を喫した。これは国民が自民党に突きつけた明確な「NO」だ。主な敗因は、派閥裏金事件に象徴される「政治とカネ」の問題で強い逆風が吹き荒れたことと分析される。だが、20年以上にわたり旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合。以下、統一教会)の取材を続ける私が一貫してこだわったのは、もう一つの柱である「政治と宗教」の問題だ。選挙期間中、自民党の“統一教会汚染”について十分な報道があったとは言えず、問題にフタをしたい自民党の思惑は少なからず成就したように感じている。
そうした中、私は選挙を目前にした10月初旬、教団関係者を通じて教団内部の“極秘文書”を入手し、10月23日に「文藝春秋 電子版」で報じた(詳細は「全公開『極秘 旧統一教会内部資料』33ページ 2021年衆院選、旧統一教会に支援された自民候補者実名リスト」を参照されたい)。これは、前回の衆院選(2021年10月31日投開票)での“統一教会による組織的自民党支援”の実態を示す衝撃的な文書で、記事を見た有権者からはSNSを中心に大きな反響が届いた。
本稿では、資料中で“証拠写真”により教団との密接な関係性が示された議員のうち、今回当選した議員を中心に、資料の意味と衆院選の結果を振り返りたい。
事務局長会議で衆院選を“総括”
33頁に及ぶパワーポイントにはこうタイトルが付けられていた。
『激動の2021年「政治決戦 総選挙と日本の行方」』
作成者は、統一教会のフロント組織、「世界平和連合(FWP)」の中部地区常任講師のS氏。全国支部の事務局長向けに作成された資料で、一般信者は知り得ない内容だという。
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source : 文藝春秋 2024年12月号