急いだ解散総選挙、非公認候補への資金、すべてが裏目に
「極めて厳しい審判を頂戴した」
第50回衆院選投開票の翌日の会見、自民・公明両党で過半数割れの惨敗を受けて、石破茂首相はそう語るしかなかった。それでも「政治改革や経済対策などの課題に先頭に立って取り組み、日本創生を実現していく」と気丈に続投を表明した。
反石破の急先鋒である旧安倍派の多くは落選。岸田文雄前首相が「今さら誰に代わっても同じだ」と周囲に漏らすように、党内では厭戦ムードが漂い、いますぐ“石破降ろし”の嵐が吹き荒れる状況ではない。
ただ、前途は極めて険しい。自民党は56議席減の191議席、公明党に至っては石井啓一代表が落選し、8議席減の24議席。与党系無所属を合わせても過半数の233に12議席及ばず、首相指名選挙も覚束ない。新たな連立パートナーとなる政党は見当たらない。当面は衆院会派「有志の会」(吉良州司ら4人)の取り込みに加え、国民民主党と政策ごとに連携する「部分連合」でしのぐ構えだが、少数与党の政権運営は煉獄だ。
50議席増の立憲民主党・野田佳彦代表は「首相指名を取りにいく」と意気込むものの、参院は与党が圧倒的多数を占める。「ねじれ国会」で苦しい政権運営を強いられるよりも、内閣不信任決議案を可決できる状況を維持しつつ、野党連携を構築し、「来年夏に衆参ダブル選挙に追い込み、本格的に政権交代を図る」(立憲幹部)算段を描く。
振り返れば、選挙戦中盤から自民党退潮の兆候は出ていた。10月21日夜、党本部で開かれた選対会議。石破や菅義偉副総裁、森山裕幹事長、小泉進次郎選対委員長、関口昌一参院会長、元宿仁事務総長ら最高幹部が顔を揃えた。示されたのは先週末に行った党の情勢調査だ。自民は非公認候補を含め224議席、公明29議席、与党で過半数を20議席上回るとの結果。「与党過半数は大丈夫でしょう。追い上げている選挙区もあり、接戦区が増えている」と元宿が説明した。
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