墓じまい3つの落とし穴

子どもや孫に迷惑をかけたくない

鵜飼 秀徳 ジャーナリスト・浄土宗僧侶
ライフ 社会

 タブーが、タブーでなくなった。これが昨今の、「墓じまい熱」にたいする私の率直な感想だ。

 墓じまいとは、先祖から受け継いできた墓石を撤去し、区画を墓地管理者に返上することを指す。ご先祖様の遺骨や将来の自分の骨は散骨したり、合祀墓や永代供養墓に移したりする。

 冒頭に述べたように、かつては墓地継承者(縁者)が存在するのに墓じまいすることは禁忌であった。ご先祖様が安らかに眠っている墓所を掘り起こそうものなら、一族郎党から「そんなバチ当たりな」とストップがかかったであろう。

 ところが今ではむしろ、“正義感”にとらわれ「墓じまいせねばならない」と考え、行動に移す人がかなり出てきた。

「子どもや孫に迷惑をかけたくない」。これが墓じまいをしようとする人々の共通ワードである。つまり、墓地の管理費などのコストや、墓参りの負担を子孫に負わせたくないということだ。特に墓がある場所と、自分たちが暮らす都会が遠く離れている場合、盆や彼岸の墓参りは肉体的にも経済的にも負担が大きい。

 ここで墓じまいの件数の推移を紹介しよう。厚生労働省「衛生行政報告例」によると、2000(平成12)年度の改葬数(実質の墓じまい)は6万6643件。当時の墓じまいとは、絶家に伴う「無縁化」であった。墓地の片隅に無縁となった墓石が積まれているのを、見たことがないだろうか。このタイプの墓じまいが2014(平成26)年くらいまで、年間7万~8万件の水準で推移していた。

 だが、この10年ほどは「新しいタイプの墓じまい」が加わって、数が激増してきている。コロナ禍の2020、21年は少し落ち着いたが、2022年度は全国で15万1076件まで膨れ上がっている。

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source : ノンフィクション出版 2025年の論点

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