2025年は590万人の団塊世代が75歳以上の後期高齢者となる。そのようななか、特に東京を中心とした関東圏、関西圏、愛知県や北海道など人口が集中する都市での介護人材の不足が目立っている。厚生労働省は24年7月、26年度に介護職が全国で約25万人不足するとの推計を発表した。
介護人材の不足は、あらゆる場面で社会問題を引き起こしている。
厚労省の「国民生活基礎調査」によると、同居して介護を行う世帯のうち、高齢者同士の「老老介護」の割合は、63.5%(22年調査)にも上っている。介護職員の高齢化も進み、訪問介護員においては約3割が、60歳以上だ。既に高齢者が高齢者を介護する時代が訪れているのだ。

「介護離職」の数も増え、22年では10万6000人というデータもある。特に働き盛りの50代以上が看護や介護のために仕事を辞めざるを得ない状況が目立っており、事態は深刻だ。
当然、介護の現場にも異変は起きている。介護労働安定センターの「介護労働実態調査」(23年度)によると、介護人材の不足により「利用者の受け入れ抑制」「各職員の時間当たりの業務負担の重さ・余裕のなさ」「介護の質の低下」などの影響が出てきているというのだ。
タオルを使いまわし、骨折を放置
大阪市浪速区。「ドヤ」と呼ばれる日雇い労働者向けの簡易宿泊施設が建ち並ぶ街の外れに、古びた9階建ての集合住宅が建つ。その一室に、訪問介護と訪問看護を行う民間の介護事業所がある。同社の元職員はこう話す。
「うちの社長は、利用者をカネの成る木だと言ってました」
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