「東京一極集中」が少子化を招いている
石破茂首相が地方創生担当大臣だった2015年、大臣や副大臣が参加する勉強会の講師を務める機会がありました。その折に石破氏は地方創生の「本質」を深く理解しておられると感じました。ですから今回、石破氏が新政権の目玉政策として地方創生を打ち出したことは評価していますし、期待を寄せています。
現在の日本が直面する最大の問題は「少子化」です。0〜4歳の人口は、半世紀前に比べて6割も減り、しかもまだ減り止まる兆しがありません。このままでは経済の再生どころか、国自体が消えてしまいます。
少子化の要因は複雑ですが、人口過密で出生率の著しく低い東京に若者を集め続けたことが最大の原因です。地方創生とは、地方へのバラマキではなく、日本の消滅を止めるために、東京一極集中を食い止めようとする施策なのです。
人口の少ない地方は消滅するという風評もありますが、政策を議論する際には、風評の盲信は禁物。「現実」や「実態」を把握することが重要です。
図1は、日本と世界の可住地人口密度(山林や湖沼を除き、人が住むことが可能な土地1キロ四方にどれぐらいの人が住んでいるかを示した数値)の比較を示したグラフです。
これを見ると、東京一極集中がいかに異常なレベルに達しているかが一目でわかります。東京の可住地人口密度は9703人と、シンガポールに次いで世界最高レベルにあります。地方を含む日本全体の平均値である1000人超も、都市国家や島嶼(とうしょ)国家を除けば、世界で3本の指に入る過密状態なのに、東京一極集中はさらにレベルがちがう過密ぶりなのです。シンガポールも東京も出生率は1前後。これほどの過密を放置しては、当然、日本社会全体にさまざまな「歪み」が生まれます。
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