母親から通報を受けた山形県警長井署の捜査員が現場に急行し、父親と覚さんの死を確認した後、犯人が伊藤であると把握。周辺を捜索したところ、7日18時半ごろ、現場から数百メートル離れた神社で手に怪我を負い座り込んでいる伊藤を発見。犯行を認めたため、その場で殺人容疑で逮捕した。
性暴力による「PTSDの有無」が争点に
山形地裁で始まった公判では、伊藤被告が覚さんから受けた性的暴行と、それにより発症したと思われるPTSDが争点となった。2007年3月30日、検察側は性的暴行は認めたもののPTSDは無かったものとしたうえで、被告人の反社会的な性格は改善不可能として死刑を求刑する。対して、弁護側は4月12日の最終弁論で両親に対する殺意は無かったことやPTSDに罹患している可能性を主張。伊藤被告は最終陳述で「裁判を通して、遺族や被害者の怒りや悲しみを知った。一生を掛けて償っていきたい」と深々と頭を下げた。
5月23日、下された判決は無期懲役。裁判長は、かつて性的暴行を受けたことなどを考慮すると更生の余地が全くないとは言えないと、PTSDの可能性も否定できないとしたうえで、「冷静な思考を保っており、計画性があったが、犯行前に体調が変化し、犯行の計画性は決して綿密なものではなかった」と述べた後、「死刑選択も十分に考えた。その意味を考え、今後の反省につなげてほしい」と伊藤被告に語りかけた。
検察・弁護側ともに判決を不服として控訴し、仙台高裁で開かれた第二審。弁護側証人として出廷した伊藤被告の母親は、犯行の背景や動機とされる「被告が幼少時に受けた性的暴行」の存在を示唆したうえで、被告人が小学4年当時、殺害された覚さんから少なくとも3回、電話で呼び出されたと証言。「最初の呼び出し後に帰宅した際、泣きながら水道水で口をゆすいでいた。その後、明るく活発だった息子が家にいるようになった」と話した。