実はこのF-35B、給油ノズル同様、よう見えんが機体の周囲にいくつものカメラがあり、それがパイロットのヘルメットが向く位置と連動してバイザーにリアルタイムで映るという。
つまり垂直着陸時にパイロットが足下を見ると、コックピットの床が透けて機体の真下が丸見え、余裕でしかも目視で安全に垂直着陸できるというのである。
超高級ステルス戦闘機「F-35B」の“驚愕のデメリット”
さてとさんざっぱら、F-35Bをまるで自分の手柄のごとく自慢してきたが、当然長所もあれば短所もある。まずは当然高価である。
そしてもっと深刻なのが、燃費である。STOVLの際は通常の離着陸よりはるかに燃料を食う。空母発着艦の際はなおさらである。当然通常の戦闘機より航続距離は短くなり、空中戦をしようものなら、あっという間にガス欠である。
事実、今回アメリカ本土から新田原基地までとんできた3機も途中太平洋上で何度も米軍空中給油機から給油を受けてきた。
なお給油ノズルは仏軍のラファール戦闘機のように露出しておらず、ステルス機のため、ちょいと写真ではわかりにくいが、コックピット右側にぴったり収納されている。
つまり、考えたくはないが、いや考えなければならん。有事の際もKC-46など空中給油機と行動をともにする必要があるのである。航空自衛隊はこの「空飛ぶガソリンスタンド」ともいえるKC-46など空中給油機もさらに調達する必要もでてくるであろう。
なお現在、日本に寄港中の英国海軍の空母「プリンス・オブ・ウェールズ」にも20機以上の同じF-35B等が満載されている。
そのシルエットは広大な飛行甲板に艦橋が2つもそびえていて独特なんやが、それだけではない。その艦首の飛行甲板先端は短距離発艦時での浮力と燃料消費をちょっとでも稼ごうとスキージャンプ台のように跳ね上がっているのである。
また対空、対地、対艦攻撃とマルチロール(多目的)の性格から様々な武器を搭載できるのだが、それらもステルス性から機体内部のウエポンベイ(格納庫)内に収納しないといけないので、数も重さも限られる。
で、収まり切れないミサイルや爆弾等は主翼下のラックに吊るすことになり、そうなると空気抵抗は増えるがステルス性は減少、もしくは失われてしまうのである。
STOVL機の宿命と言われる騒音問題
そしてどうしてもSVOTL機の宿命と言われる騒音である。
ただでさえ、戦闘機は騒音がすさまじい。特にアフターバーナーを使用した緊急離陸時やその直後の急上昇時は。さらに垂直着陸時はジェットエンジンの可変排気ノズルが下方を向くからもろに騒音が地上に降り注ぐ。
……とまあ、相当覚悟しとったんやが、実際垂直着陸時に身近で聞いたが、F-15戦闘機のような双発(2発エンジン)やなく、単発なので、特段うるさく聞こえんかった。少なくとも64歳のおとろえ始めた不肖・宮嶋の耳にはやが。
ついでに、短距離離陸、垂直着陸時には下方に向けた可変排気ノズルから騒音とともに高温のダウン・ウオッシュも吹き注ぐ。15tの武装無しでもその機体を垂直に持ち上げるダウン・ウォッシュである。すさまじい高温になってるはず。
その耐熱処理を垂直着陸スポットや空母甲板に施さなければいけないので、これまた結構やっかいなのである。





