戦後80年の節目に、ついに我が国に最新鋭ステルスSTOVL戦闘機「F-35B」が自衛隊機として配備された。高い性能を誇る一方で、従来の戦闘機とは異なる多くの課題も抱えるこの機体は、日本の空と海を守る新たな防衛の要として大きな関心を集めている。

 報道カメラマン不肖・宮嶋は、F-35Bが宮崎県・新田原基地に姿を現した歴史的瞬間を目撃。その模様と今後の展望を豊富な写真とともに詳しく紹介する。(全2回の1回目/後編を読む

撮影=宮嶋茂樹

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雲の切れ間から姿を現したF-35B「ライトニングⅡ」

 嗚呼……なんという幸運であろう。戦後80年を経て、いよいよ我が国にも再び空母艦載戦闘機が配備されるのである。その歴史的瞬間をこの目で見、この手の愛機で記録できるのである。選ばれし者の恍惚が我が身を打つ。

 昭和16年アメリカ、ハワイ時間12月7日朝、真珠湾のアメリカ太平洋艦隊に大打撃を与え、ハワイ沖、空母「赤城」に帰還した第1次攻撃隊長の淵田美津雄中佐搭乗の97式艦攻を出迎えた航空参謀源田実中佐の気分もかくやである。

 所は宮崎県、航空自衛隊(にゅう)()(ばる基地、時は8月10日、小雨降り止まぬ1328時、基地外周にはどこで聞きつけたのか、宮崎県内いや日本全国から駆けつけた飛行機マニアが鈴なりで見上げる雲の切れ間から轟音とともに姿を現した黒き怪鳥こそF-35B通称「ライトニングⅡ」であった。

 

「かが」から発艦した固定翼戦闘機は米軍機だったが…

 実はこのF-35Bを本「文春オンライン」でご紹介できるのは初めてではない。

 昨秋、アメリカ西海岸サン・ディエゴ沖太平洋上で行われた、実質空母化された海上自衛隊護衛艦「かが」飛行甲板上での固定翼戦闘機運用訓練でもこのF-35Bを紹介させてもろた。

 その護衛艦「かが」から発艦した固定翼戦闘機こそ、このF-35Bやったのである。

 その瞬間にこそ戦後79年を経て、日本が実質空母を保有するに至ったのである。

米海兵隊のF-35B

 その際は日本の空母、もとい護衛艦上とはいえ発着艦したF-35Bは機体に「かが」艦載機を示す塗装こそ施されていたものの、国籍は米軍機を示す識別マークがロービジブル(視認しにくい)で描かれていた。

 しかし今回は航空自衛隊、新田原基地に配備されるれっきとした自衛隊機なのである。