熟練するのに時間がかかる操縦の難しさも…
さらにSTOVL機ゆえに通常離着陸できる戦闘機より操縦がむずかしい、つまり熟練するのにも時間がかかる。
しかしまあそれは先代「ハリヤー」よりはるかにハイテク化が進み、パイロットへの負担は相当少なくなった……とはいえや。ヘルメット内の高度な情報や映像を読み取り、理解してかつ機体をコントロールしながらウエポンで攻撃、なんてことは慣れるにも相当時間を要するはずである。
そろそろ、お分かりになられてきたであろう。このF-35Bのマルチ・ロール的凄さが。それだけに隣国にとっては脅威、その焦りが不肖・宮嶋にもビンビン伝わってくるようである。
かくして今回の基地内への立ち入り取材にも厳しい条件が課せられたのも当然であろう。
持ち込み機材の事前登録、携帯電話の持ち込み、さらに記録媒体も制限、さらに撮影場所に至るまでの機材保管等々。あんまり詳細記すと、どこに国防秘が潜んでるか分ってしまうので、これ以上は書かんが。
もちろん撮影した全画像をチェックされることも条件であり、実際それらは実行され、そのチェックが済むまで基地外に退出できなかった。
F-35Bは航空自衛隊だけやなく、本国アメリカ、英伊軍にも配備されたばかりの最新兵器である。日米安全保障条約に基づき日本側、つまり自衛隊がお互いの最新鋭兵器の性能の詳細が露見する情報を制限するのは国防上、安全保障上でも当然。いくら民主国家の日本であろうと、国防秘を外国勢力に故意であろうと偶然であろうと、漏らす自由などないのは当然である。
かくして不肖・宮嶋はじめ全カメラマンと記者が基地内で撮影した全画像は航空自衛隊担当者によりチェックされたが、不肖・宮嶋に限れば消去を求められた画像はなかった。
基地の外からは丸見え…日本の安全保障は大丈夫か?
しかし、基地の外は治外法権、無法地帯である。
それにしても不肖・宮嶋、取材中も気がかりであった。基地外周、特にF-35Bが垂直着陸できる、耐熱処理を施したスポットが見れるポイントには立錐ならぬ脚立が割り込めぬほどマニアが集い、我々より高級なカメラや超望遠レンズを構えその一部始終も丸見え、撮影できるのである。
確かにF-35Bなどの隣国が恐れる優秀で強力な兵器の配備も大事だが、このような国防に必須な機密を守るべき法整備も必要であろう。つまり、いわゆる、「スパイ防止法」の制定である。
スパイ防止法がないのは、世界のほとんどの独立国で日本だけである。せやのに、政権与党のなかにさえ、そのスパイ防止法に反対する議員は少なくない。我らの石破茂首相ですらガン無視である。
さあ、次のステップはいよいよ日の丸輝かせたこのF-35Bの空母「いずも」や「かが」からの発着艦である。
不肖・宮嶋の目の黒いうちになんとか目にしたいものである。もちろんそれは訓練でである。その瞬間を不肖・宮嶋の手にするカメラのレンズを通して捉え、日本を取り巻く隣国にも見せつけ、なんとか我が国への侵略を思いとどめさせるつもりである。
こんなF-35Bが今年度中に8機、近い将来には計45機がここ新田原基地に配備され2個飛行隊も創設、日本の空と海の守りを担うことになる。
それまで敵が待ってくれればええのやが……。
撮影=宮嶋茂樹



