突然はじまった、リアル額縁相談会
杉守 お客さんが額装したいものを持ち込まれたとき、私はすごくしつこくいろいろ聞くんです(笑)。ただ言われたままに額装していいんだろうか、大切なものであれば尚更、その背景をもっと知りたい、という思いがあって。
柊 私がオーダーで作ってもらったときも、光はどう入るのか、どこにどう飾るのか、詳しく聞いてもらったのが新鮮でしたね。何が合うかなと話しながら、いろいろな種類の額縁を被せていって、「あ、これだ!」となる瞬間とか、すごく楽しい。
写真をアルバムに貼ると日常的には見られないけれど、額装して壁に飾ると、毎日そこを通るたびに「やあ!」って気分になるし、額装したときにお話ししたことを思い出します。
杉守 報われます(笑)。例えば、同じ種類の額の場合、4辺を色違いで組み立てることもできるんです。以前4人のアイドルグループの写真を、メンバーのイメージカラーに合わせて、4色使って組み立てたときは、とても喜んでもらえました。カラフルで楽しいですよ。
柊 今日、実は写真を持ってきまして……。昭和の雰囲気が残る昔のままの駅で撮りました。このレトロな感じがとても気に入っているので、額装もそのイメージで。
杉守 え、ちょっと手袋を持ってきます!(白い手袋をはめて)なんだか緊張します……。
(写真を見ながら)トンネルの奥や、ミラーのなかにいろいろ写りこんでいるところが面白いですね。
(額縁のサンプルのなかから)この写真のブルーのクラシカルなところが気になったので、たとえばこの青い額で、内側に金の縁が入ったものはどうでしょう。
あと鏡のイメージつながりで、この銀色の細身の額で、縁が紺色っぽい黒のものも、金属の感じが合いますよね。
柊 あ、いいですね。このメタリックな感じ!
杉守 マットは、レトロな雰囲気にはアイボリーがかった色が合いますね。写真のなかに写り込んでいるものに合わせて、マットを2色重ねてダブルマットにするのも面白いかも。こうやって十二単みたいに色を重ねて、連想ゲームをしていくんです。トリプルにもできますよ。
それから額の間やマットの縁につけるフィレというアクセサリーがあって、それを付けると写真にリズムが出てくるんです。錆びた感じを出すには……あ、このプツプツしたブルーのフィレとか面白いかな。
柊 わー、素敵です‼ 額装の仕方によって、写真の雰囲気がまったく変わりますね。急に写真を出して、ぶっつけ本番でお願いをしちゃって、すみません(笑)。でも素人だと絶対に思いつかないようなアイデアを、加奈子さんが次々と提案してくださるのが、本当にすごい。額装の技術がある方の強みですね。
杉守 何が来ても応えられるようにするのが、私の仕事だと思っています(笑)。
毎年春秋に額縁のコレクションが発表されて、世界中の新作を見られますし、定番でずっと変わらないものもあります。オーダーメイドというとすごく高いんじゃないかと心配する方もいますが、幅広く揃えているので、ぜひお気軽に相談してほしいですね。
