2025年3月には、自傷行為を推奨する表現を制限する機能を実装したが、誤制限が多発したため1ヶ月後に撤廃。自傷の具体的方法の表現を制限する方針に改めたが、推奨表現との境界はあいまいだ。意図を汲んでほしくても、年齢的にも精神的にも難しいケースが少なくない。いたちごっこと試行錯誤が続く。
30歳頃に事業部門を引き継ぎたい
そうしたなかでも、公開当初からスタンスを変化させている要素もある。とくに目立つのは家庭の悩みに限定しなくなった点だ。家庭の悩みを書き込むことが前提の場だったが、2025年3月には「家族」「学校」「病気」「LGBT」といった悩みのカテゴリー機能を追加し、吐露できる内容の幅を広げている。
「『学校が嫌で不登校になって、家でお母さんに色々言われて』みたいに、色々な要素の悩みが混ざってグラデーションになっていることが多いので、家庭の悩みだけに無理に限定必要はないかなと判断しました」
利用者からの反感から取り下げた機能も少なくない。たとえば、児童相談所への電話ボタンを実装したところ、「そんなのいらない」「結局お金儲けなんだね」といった反応があり、すぐ撤廃したという。
NPO法人の代表として官民の支援事業との交流を重ね、学生時代は見えなかった可能性に気づけるようになった。そうした知見を伝えることは大切だが、場の雰囲気を壊すのは避けたい。そこで、gedokunの派生サイトである情報ページの「nigeruno(ニゲルノ)」を作り、そこにまとめるようになった。「うざくない」ことの価値。そこに自覚的なことがgedokunが賑わう根幹となっているように感じる。
そのために投稿を読むときは少年少女になりきることを意識しているそうだ。ただ、どうしても実年齢はメインターゲットである中高生と離れていってしまう。
「どんどんギャップが生まれている感覚はあります。実年齢もそうですが、時代的なところも。私が中高生だった時代は不登校も今ほど多くなかったですし、LGBTQの悩みもここまで顕在化していませんでした。私が見てきた世界は今の中高生が見ている世界とは違います。この差はどんどん広がっていくので、私が30歳くらいになるときには事業部門はもっと若い人に引き継ぎたいという思いがあります」

