タトゥーを彫りに来る客層とは?

須賀 ありがたいことに、毎月平均で200名程度が利用してくれています。やはり公に、しかも有資格者の手による麻酔で除痛できることが評価されいている一因かと思います。

ーーどのような方が来られているのでしょうか。

須賀 タトゥーを彫りに来る人の8割近くは女性で、20代後半から30代くらいの方が多い印象です。自分の信念などを刻み込みたいという方か、ペットを含めたご家族にまつわる想いを身体に宿したい方、あるいはファッション感覚という感じでしょうか。

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麻酔施術の様子

――須賀さんご自身は、タトゥーを入れていないようですが。

須賀 はい、入れていません。私は、タトゥーという文化を広めたいとか、日本にタトゥーを浸透させたいと思っているわけではないんです。入れたい人は入れればいいし、入れたくない人は入れなくていいと思っています。

 ただ、その際に“痛みがない”というのは付加価値になりますし、その価値を提供できればと思ってスタジオを立ち上げました。

――現状、日本においてはタトゥーに対するマイナスのイメージが根深いと思います。それについて思うことがあれば教えてください。

須賀 私が幼少期を過ごしたアメリカ合衆国は、いろいろな人種が入り混じり、生活様式もバラバラなら信じている神様も異なっていることが“普通”でした。

 タトゥーについても物珍しいことではなく、入れている人を特別視したことはありません。日本に帰ってきてから、子どもながらに「そういえばタトゥー入れている人少ないな」と思ったくらいです。ですから私自身は、タトゥーに偏見もありません。妹が2人いるのですが、彼女たちの身体には入っていますし、タトゥーについて善悪で考えたこと自体がないんです。

須賀公佑氏

 ただ、日本社会において、「みんなと同じじゃないこと」は生きるうえでかなり軋轢を生みますよね。多くの人の「通常こうするであろう」という予測を裏切ることは、非常にタブー視されているのではないかと思うんです。

 私自身、医師をやめてサラリーマンになると決めたとき、あるいはサラリーマンをやめてタトゥースタジオを立ち上げると決めたとき、多くの人から反対に遭いました……。

 ただ、自分の価値基準で人生を切り開きたい、そのほうが幸福度が高い人生になると考え、熟慮のすえに行動しました。