痛みの少ないタトゥースタジオとして知られる「inklinic(インクリニック)」。同クリニックのホームページには「『痛い』は、もう古い」とのキャッチコピーが目を引く。
院長の須賀公佑氏は、慶應義塾大学医学部を卒業した秀才だが、なぜ彼は医師免許を手にしたにもかかわらず、タトゥースタジオを開業したのか――。
医師免許を手にしてタトゥースタジオを開業
――医師が除痛を行うタトゥースタジオというのはずいぶん珍しいのではないですか?
須賀公佑(以下、須賀) そうかもしれません。ただ、タトゥースタジオとは銘打っているものの、当クリニックは保健所にも届け出を出している医療機関なんですよね。
ーー医師免許を手にしてタトゥースタジオを開業した須賀さんですが、これまでの経歴も異例ですよね。慶應義塾高校にはスポーツ推薦で入学したと伺いました。
須賀 2歳から8歳までをアメリカ合衆国で過ごしまして、バスケットボールをやれる環境が身近で本気で打ち込んでいました。4歳のころからですかね。日本に帰国してからは、ミニバスをやって、神奈川県選抜に選んでもらえて、名指導者のいる公立中学校に入学したんです。
中学校時代は横浜市で優勝、神奈川県大会ベスト4の成績でした。そこで慶應義塾高校バスケットボール部の監督に声をかけてもらって、スポーツ推薦枠の試験を受けて入学したんです。高校でも神奈川県大会2位の成績を残せました。
――慶應義塾高校には、さまざまな学校から高偏差値の子たちが集まって来るイメージです。医学部に進学されたのは異例ではないですか。
須賀 当時の学校の先生からは「スポーツ推薦で入学した生徒が医学部に推薦されたことは歴史上ない」と言われました。
当時は勉強が好きなタイプではなく、プロを目指してバスケットボールに没頭していたんですよね。ただ、学年を重ねるにつれて「バスケットボールでプロになるのは厳しいな」とだんだんわかってきて。
高校2年くらいのときだったと思いますが、担任の先生に呼び出されて、「今の成績なら医学部に行ける」と声をかけてもらいました。
――ちなみにどのくらいの成績だと医学部に行けるのでしょうか。
須賀 全校生徒が740名くらいいて、20名ほどが推薦されましたね。高2の時点で聞かされたのは、私は学年で3番以内に入っていたようでした。
これまで医学部進学なんて考えたこともなく、家族のなかに医師もいなかったので、まずは両親に相談しました。
――ご両親はどんな反応でしたか。

