動物の法的地位を民法の枠組みから見直すことは、人と動物が真に共生できる社会を実現するための不可欠なステップといえます。

法律が社会の心に追いつく未来に向けて

この変革を実現するには、立法府、司法、そして市民社会がそれぞれの役割を果たしながら連携し、動物の福祉と権利をより尊重する法制度を構築していく必要があります。

立法府は、動物を「物」とする現行の民法規定を再検討し、所有権と生命保護のバランスを見直す法改正に踏み切るべきです。司法は、個別の判例を通じて社会の意識変化を汲み取り、その動きを立法に促す役割を果たさなければなりません。そして市民社会は、日常の飼育や活動を通じて、動物を家族として扱う価値観を広く社会に浸透させていくことが求められます。

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米ニューヨーク州の判決は、こうした取り組みの方向性を示す象徴的な事例です。社会の価値観はすでに変わり始めています。あとは法がその変化に追いつき、形として定着させることができるかどうかです。動物を「家族」として扱う社会を本当に実現できるかは、今を生きる私たち一人ひとりの選択と行動にかかっています。

阪根 美果(さかね・みか)
ペットジャーナリスト
世界最大の猫種である「メインクーン」のトップブリーダーでもあり、犬・猫などに関する幅広い知識を持つ。家庭動物管理士・ペット災害危機管理士・動物介護士・動物介護ホーム施設責任者。犬・猫の保護活動にも携わる。ペット専門サイト「ペトハピ」で「ペットの終活」をいち早く紹介。テレビやラジオのコメンテーターとしても活躍している。
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