外に出たら「チーナ(中国人女性)」と呼ばれ、「なんであなたの目はこうなってるんだ」と…

――プエルトリコで、周りと馴染めないなと感じる瞬間はどんな時でしたか。

中川 学校の友だちは「日本人のアンナ」ではなくて、シンプルに「アンナ」として扱ってくれていたのですが、やっぱり外に出たら、必ずちっちゃい子どもとかから、「チーナ」って言われて。

――「チーナ」は「中国人」という意味?

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中川 そうです。スペイン語で「中国人」という意味で、男だと「チーノ」、中国人女性だと「チーナ」ですね。

 ずっと「チーナ、チーナ」と指をさされて。あとは、「皆の目は丸いのに、なんであなたの目はこうなってるんだ」(と、手で目を吊り上げる)みたいなのもやられたりとかして、嫌だったなあって。

――「自分って何人なんだろう」みたいな、そういう感覚を持ったことも?

中川 ありましたね。子どもながらに思ったのが、やっぱり現地の人ってヒエラルキーのような三角形があったらそのトップにいて。

 フィンランドやプエルトリコにいたら当然、自分はそこには入れないし、かといって日本にいても、“帰国子女”という枠に入れられてしまって。だからこそ、どうしたらトップに入れるのかということを必死に考えていたんだと思います。

 それで、プエルトリコにいるときはスポーツを頑張ってました。

「小学生の頃からセクシーで、ピアスたくさん」プエルトリコの“一軍女子”の実態

――スポーツができると周りから認められやすい?

中川 すごく残酷なんですけど、体育の時間にキックボールという、野球の足版のようなスポーツをやることが多くて。そのチーム分けを、子どもたち自身で決めるんですね。そうすると、運動神経のいい子からメンバーになっていって、あとは人気順などでどんどん決まっていくんです。

――「はないちもんめ」の「あの子がほしい♪」と同じ感じですね。

中川 球技があまり得意ではなかった私にとっては、そのキックボールの時間が苦痛で苦痛で。で、そこから抜け出したくて、ちょっとでも皆に認められるように運動を頑張るようになったんです。

――ちなみに、プエルトリコの一軍女子はどんな雰囲気なんですか。

中川 もう小学生の頃からセクシーですよね。髪の毛はポニーテールでピアスたくさん、いつもスウェットの手を萌え袖っぽくして短パン履いて、足を組みながら「だる~」って感じで授業を受けている感じがモテていました(笑)。

 

――日本だとギャルっぽい感じですかね。

中川 中学の時に日本に帰ってきたんですが、プエルトリコ帰りの自分には、“日本的モテ”要素がまったくないことにすぐ気づいたんです。

 それで高校に入ったとき、ここで仕切り直そうと思って、モテ女を目指してみたんです。おとなしくて、おしとやかなキャラを演じていたら、「それキモい」ってズバリ見抜いてきた人がいました。

〈つづく〉

撮影=三宅史郎/文藝春秋

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