今年3月にNHKを退社し、フリーアナウンサーとして活躍中の中川安奈さん(31)。フィンランド、プエルトリコで育ち、英語・スペイン語を習得する中、CNNの女性キャスターに憧れたことがメディアを目指すきっかけとなった。
帰国後は慶應義塾大学でジャーナリズムの勉強をし、「小さな声を届けることがメディアの使命」と思うようになったという。
そんな中川さんに、異国で暮らした中で感じた壁や、帰国子女の生きづらさ、またNHKアナウンサー時代の話などを聞いた。(全3回の2回目/3回目に続く)
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“軸を持って自分の言葉で語る”CNN女性キャスターへの憧れ
――お父さんの仕事の都合で10歳から14歳までプエルトリコで過ごす中で、キャスターという職業に憧れるようになったそうですね。
中川安奈さん(以降、中川) CNNで女性キャスターが喋っているのを見て、なんてかっこいいのだろう、と思ったのがきっかけです。
――どんなところにカッコよさを感じた?
中川 もう、全身から“我(われ)”という感じで、軸を持って自分の言葉で語っている姿にしびれたんです。
その少し後ぐらいに「TEDトーク」なども流行りだして、あのスピーカーになってみたい! とも思いました。
――他に、プエルトリコで見たカルチャーで影響を受けたものは?
中川 特にディズニーチャンネルの影響は強いと思います。プエルトリコではだいたい、アメリカのテレビ番組が見られるんですね。中でも『スポンジ・ボブ』の、ずっとポジティブみたいな感じがすごく好きで。
当時よく見ていたディズニーチャンネルでは、番組と番組の合間に短いCMのような映像で、「Express Yourself, on Disney Channel」というメッセージが流れたんです。
「いつもどこかで自分のキャラクター探しをしてる」
――ジングルみたいな感じで。
中川 そうなんです。その「自分らしさを発揮する」というメッセージはすごく心に響くものがありましたし、当時の番組の大半が「あなたはあなたらしく」というテーマが大切にされていて。そうした空気感は、自分の中にしっかりと根づいている気がしますね。
――でも、NHKの社風は真逆というか、ピシッとした一定の規格があるような。
中川 そうなんですねえ(笑)。NHKもそうですし、プエルトリコにいたときも地元の子たちに溶け込もうと必死にもがいて、帰国したら今度は日本になじもうとしてまた悩んで……みたいな。
だから、苦戦というほどではないですけど、いつもどこかで自分のキャラクター探しをしてる感覚はありましたね。

