「娘の調子はどうだ? 元気にしているか?」
声をかけてきた男の正体は、7年前に娘をレイプした犯人だった……。2005年におきた復讐事件。憎き男と再会した母親がその後、とった「驚きの復讐方法」とは? 我が子を無惨に殺された親、学生時代ひどいイジメに遭った者などが仕返しを果たした国内外の事件を取り上げた新刊『世界で起きた戦慄の復讐劇35』(鉄人社)から一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/続きを読む)
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13歳の娘を襲った犯人男性との再会
1998年10月17日昼間、スペイン・バレンシア州に隣接する小さな街オリウエラに住む13歳の少女ヴェロニカ・ガルシアが、母親マリア(当時47歳)に頼まれパンを買いに出かけた。その途中、近所に住む男性アントニオ・コスメ・ベラスコ・ソリアーノ(同63歳)に突然ナイフで脅され、人気のない木立に連れ込まれたうえで性的暴行を受ける。彼女はこのとき処女だった。
事実を知ったヴェロニカの家族の通報によりソリアーノは、逮捕され裁判で懲役13年の実刑判決を受けるも控訴し2001年1月、懲役9年で確定・服役する。
4年後の2005年6月13日昼間、ソリアーノは3日間だけ仮釈放を許され地元オリウエラへ戻った。久しぶりに外の空気を味わいながら道を歩いていたとき、予期せぬ人物とすれ違う。ヴェロニカの母マリアだ。彼女は時が経ち白髪まみれになったソリアーノのことを認識できず、そのまま通り過ぎようとした。と、ソリアーノが言葉をかける。
「娘の調子はどうだ? 元気にしているか?」
そこで、初めて相手が娘を凌辱した男だと気づいた。ヴェロニカは事件後、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を患い最近になってようやく普通の暮らしを送れるようになったばかり。そんな娘を侮辱するようなソリアーノの挑発にマリアはショックで息を飲み、かろうじて言った。
「話すことは何もない」
言葉を発して過ぎ去ろうとした背中に、ソリアーノが追い打ちをかける。
「俺のことを覚えてるんだろ。だったら、娘が元気かどうかくらい教えろよ」
嘲るような物言いに怒りで体が震えてきた。笑いながら去っていくソリアーノを凝視していると近所のバーに入っていく。マリアは咄嗟に報復を決めた。
