「おじさんの仮装」を始めた意外なきっかけ

――ふーさんはおじさんの仮装もしていましたが、きっかけは?

ふー プリンセスの仮装って究極突き詰められない瞬間がくるんです。メイクをどうしようが、髪型をどうこだわろうが、そのキャラクターの顔には寄せられない。例えばアナ雪だったら丸顔で、自分の顔は面長なので、そもそもの骨格が違うんです。

 そう思った時に、「自分って大人顔だからおじさんの仮装やったら超似合うんじゃない?」と思って。何か一つは突き詰めたいと思ってやり始めました。

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 ディズニー・チャンネルのアニメーションに出てくるグラビティフォールズっていうキャラクターの仮装をしているんですけど、すごくハマった感じがしました。

グラビティフォールズの仮装

――おじさんの仮装の魅力はどんなところですか。

ふー 自分のマイナスポイント、例えば顔のしわとかたるみを逆に生かせるところですね。弱みが強みになる。老ければ老けるほどおじさんに近づくので、これからどんどん似せていけるんです。

 撮ってもらった写真を見て、「あ、前よりおじさんになってる」とか「おじさんのタバコの吸い方に似てるかも」とか思ったりして楽しんでいます。

――おじさんの仮装をやる上で気をつけているところはありますか。

ふー 現実のおじさんをリスペクトしています。ちゃんとおじさんに見えるように表情とか中途半端にしないでがっつり変顔とかして本気でやってますね。

おじさんの仮装をするふーさん

――参考にしているおじさんはいますか?

ふー それこそ今やっているグラビティフォールズは、パリオリンピックで射撃のトルコ代表で銀メダルを獲った無課金おじさんを参考にしています。大会の動画や写真を見て、表情や立ち姿を勉強していますね。

昔より自分のことを好きになれた

――女性でおじさんの仮装をやっている方は少ないですか。

ふー あまりいないですね。撮影会でもかなりレアだと思います。だからこそおじさんの仮装は反響が大きいです。おじ系プリンセスとしてやっていきたいなと思っています。

――プリンセスやおじさんの仮装をやってみて変わった部分ってありますか。

ふー 自分自身を受け入れられた感じはありますね。今でも褒められすぎると、「そんなことないよ……」ってなっちゃうんですけど。でも、昔より自分のことを好きになれたのはたしかです。

 それは見た目に自信を持てたというよりも、趣味を通じていろんな世界に触れることによって、たくさんの経験ができたからで。自分のことを深く知れたし、1つのことに人生かけて取り組むってすごく素敵なことだなって思います。

ふーさん ©︎細田忠/文藝春秋
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