「並ばない万博」を掲げてはいたが…
「並ばない万博」を掲げた割には、「ものすごく並ばされた万博」だったというイメージを多くの人が抱いたことだろう。あらかじめ入場時刻を決めて入場する仕組みは当初はそれこそ「並ばない」で入場できる期待を抱かせたが、実際は入場券を握りしめて、会場エントランスを通過するのに1時間近くかかるのが実態だった。手荷物検査機の数が少ないために入場口の数に限りがあり、検査機前であきらかに人のオーバーフローが生じていた。どう考えても当初の計算が甘かったとしか言いようがない。
暑さ対策も貧弱だった。入場前に結局並ばされるのにも関わらず、エントランスゲート前は広大なアスファルト広場。夏の太陽ががんがん照り付ける中、日傘を握りしめ、水分補給をしながらじっと並ぶ姿は、外国からの来場者には修行僧のようなものに見えたに違いない。日傘がぶつかり合い険悪な空気になるのを何度も目撃した。エントランス前にテントを張るなどの対策が期間中全くなされなかったのも残念だった。
パビリオンに入館する長蛇の列への対応はもう少し工夫できたのではないか。たとえば各国の楽器演奏やダンス、大道芸など、列に並ぶ退屈さを少しでも和らげる工夫ができたのではないかと思えた。
笑顔で終わりたい万博
こうしたトラブルや会場運営においての改善点は多かったものの、万博本来の姿である、各国の観光、物産などの紹介、企業の環境などへの取り組み姿勢、そして未来の科学技術に対する関心の醸成などはよく体現された素晴らしい催しであったと感じる。大屋根リングも少なくとも一見の価値はある。その先の利用法については大いに議論すればよいと考える。
いろいろ批判は多かった催しだが、閉幕までの最終コーナー、笑顔で終わりたいものだ。最後に主催者は、東京五輪の時のように終わったら知らんぷりをせずに、万博という催しをきちんと総括し、良かった点、改善すべき点などを国民に報告していただきたいものだ。