アシックス代表取締役会長CEOの廣田康人氏が、大阪・関西万博に“一介のボランティア”として覆面参加。「現場を見てみないと気が済まない性格なのかも」と自身について語る廣田氏が、会場係のボランティアを経験する中で気がついたことは?

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紙の地図は配らない

 会場係は、何がどこにあるか、どんなイベントをやっているのか、会場の中を案内する係です。会場をぐるりと囲む「大屋根リング」は1周すると2キロもあります。広いので迷う人も多い。会場係になると、3~4人のチームのうち1人が看板を持って会場案内ができることをアピールして声をかける。そうすると「アメリカ館はどっちですか」とか「水飲み場はどこですか?」、「写真を撮ってください」など、いろんなことを尋ねられます。看板を持っていない人のうち1人がiPadを持って、地図やプログラムを見せて会場を説明する。もう1人は紙の地図を持って案内します。実は、SDGsの観点から万博では紙の地図を一般の方には配っていないんです。しかし、それだとやっぱり困る方がいらっしゃる。そこで会場係が必要だというわけです。

アシックス代表取締役会長CEOの廣田康人氏。大阪・関西万博ボランティアユニフォームを着用して登場した Ⓒ文藝春秋

 これが案外大変なんですよ。ずっと日なたで立ちっぱなしですから、汗はダラダラです。業務も結構複雑で、例えばiPadの操作なんかも上手な人と下手な人がいる。悔しいことに僕がやると遅いので、ちゃんと使いこなせる方にお願いしました。

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 4時間だけのチームですが、だんだんそんなふうに自然と役割分担ができてチームワークが成立するんです。ちなみに「写真を撮ってください」と言われるのは僕が多かった。普段からおしゃべりなので話しかけやすかったのかもしれません(笑)。

大阪・関西万博に1000万人がすでに訪れた ⒸFoto/時事通信フォト

 迷子センターの受付係は迷子の案内のほかに、ベビーカーの貸し出しも行います。幸いなことに、迷子になっている子はほとんどいなかった。ですが、このベビーカーの貸し出し業務がもうダントツで大変でしたね。借りる人が本当にひっきりなしにいらっしゃって、てんてこ舞いでした。