藤倉尚氏が社長兼CEOを務めるレコード会社の「ユニバーサル ミュージック」が11年連続増収の快進撃を続けている。業績好調の背景には、Mrs. GREEN APPLE、Ado、藤井風といったアーティストの人気がある。以前のようには「CDが売れない」と言われる時代だが、活躍中のヒットメーカーにはいくつかの特徴があるという。
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アーティストが求めるもの
かつてのレコード会社はその名の通り、アナログ盤やCDなど、レコーディングされた録音物を売るのが仕事。アーティストの権利は主に所属事務所がコントロールしていました。それでもミリオンセラーを連発できた頃は成り立っていました。
しかしCDは以前のようには売れなくなりました。アーティストの価値を最大化し、売上げも利益も上昇させることを目標とした時、もはや音源ビジネスだけで生き残れる時代ではない。アーティストを全力で支える代わりに、その他の権利も当社に任せて貰うようにするのです。マーチャンダイジング、コンサートの企画・運営、配信の戦略……その分、アーティストの私たちへの要求も厳しくなっていきます。
アーティストの要望は千差万別です。海外市場で売れたい、CDは売れるもののストリーミングでさらに聴いてもらいたい、作詞・作曲は出来るけれどアイディアが欲しい、とにかく全部お任せしたい。こうした要望に応え続けることが、社員も会社も成長していくことに繋がります。
優秀なアーティストも続々と増えています。ミセスは昨年だけでシングルを7曲配信していますが、どれも名曲として残るでしょう。コンサートの構成、ミュージックビデオの演出も考える。どうすればファンが喜んで曲を聴いてくれるかを分析したり、SNSの反応を見て的確に次の手を考えるなど、経営者の目線も持っています。

