現在の物流の中心はトラックだ。鉄道貨物だってたくさん運んでいるけれども、日本の物流需要は莫大だから小さく見える。鉄道貨物のシェアはトンベース(輸送重量)で1%に満たない。輸送距離も考慮すると鉄道貨物のシェアは少し上がるが、トンキロベース(重量×距離)で計算しても、国内貨物輸送の5%にも満たない程度だ。
JR貨物の資料によると、2024年度の輸送実績は約2715万トン。これは大型10トン積みトラックで約271万台だ。もしこの物量をトラックで置き換えたら、全国の道路はますます渋滞するし、そもそもドライバーの確保が難しい。その意味で、鉄道貨物は目立たないながらも確実に物流を下支えしている。
3位「化学工業品」、2位「紙・パルプ」…鉄道貨物「輸送量1位」の品目とは?
ほとんどの貨物列車は、平たい貨車に箱形のコンテナを積む方式だ。似たような形のコンテナで、中身は外からだとわからない。そこでJR貨物の決算資料を調べてみた。
コンテナ輸送で最も多い品目は「積合せ貨物」で約318万トン。積合せとは、通運会社がコンテナを借り受け、異なる荷主の荷物を混載する形で、わかりやすく言うと「宅配便」がここに分類される。通信販売の需要の高まりや長距離幹線トラックからの移行で成長してきたジャンルだ。次に「食料工業品」が約310万トン。これはお酒やジュース、缶詰、お菓子など。腐りにくいから船舶輸送や貨物列車輸送に向いている。
約213万トンあるのが「紙・パルプ」。パルプは紙の材料で、製紙工場にパルプを運び、製紙工場から印刷工場にロール紙を運ぶ。ちなみに印刷工場、製本工場で作られた本や雑誌も鉄道貨物で扱っている。北海道から農産物を積んで東京にきたコンテナに、こんどは本や雑誌を載せて北海道へ運ばれるわけだ。
さらに「化学工業品」が約157万トン。化学工業品は自然原料を加工した製品や中間素材のことで、医薬品、衣料、塗料、プラスチック、ゴムなど多岐にわたる。僅差で「農産品・青果物」が約155万トンと続く。冒頭で触れた北海道の農産物も貢献している。




