母親の寝息を確かめてから『ギルガメ』
―― お笑い以外はどんな番組を観ていましたか?
松之丞 アニメから何から全部観てましたよ。それで小学校5年ぐらいですか、エロいことに興味持ち始めて『ギルガメッシュないと』に手を出し始める。その頃はもう父親がいなかったので、母親と一緒に寝てたんですよ。それで『ギルガメッシュないと』をとにかく観たいから、横にいる母親、寝てっかなと思って呼吸をみるんです。
―― 寝息を(笑)。
松之丞 お、寝てる、と。ただ子供にとって、あの深夜の時間帯は起きてるのツラいんですよ。でも、性欲が勝る(笑)。その時はタイマー予約できなかったから、手動でビデオ録画して。たぶん母親も気づいてたんだろうけど、泳がしてたんだろうなぁ。
―― 『ギルガメ』は性の目覚めでしたか、やはり。
松之丞 忘れられないのは『プレイボーイ』の表紙みたいな金髪の美女がとにかくクリームを塗りたくられてる光景。俺の性癖とはまるで違うんですけど、強烈に覚えてます。考えてみると、一昔前のテレビって真面目なものからエロまで、ちゃんと網羅されてた気がします。今の子にはそういう感覚はもうないのかもしれないけれど。
―― そうですね。特に今だと、テレビでエロはほとんどできないですからね。
松之丞 『志村けんのバカ殿様』の神経衰弱も忘れられないですよ。女の人がみんなうつ伏せになってて、それをひっくり返すと胸があらわになってくという……。子供心になんて下世話なんだと思いましたね(笑)。エロに限らず「もうほんとに最低だなこれ」っていう企画や番組のほうがよく覚えてるもんで、ビートたけしさんの『元気が出るテレビ』とかも好きでした。今はコンプライアンスがキツいから、テレビの様子も変わりましたけど『水曜日のダウンタウン』とかすごい頑張ってるんじゃないですか。面白いものを作ろうという気概をビンビン感じますね。
どうしてプロレスが好きになったか
―― 松之丞さんのご兄弟は、お兄さんがひとりいらっしゃるそうですね。
松之丞 4つ上の兄がいまして、その兄貴の影響でテレビ朝日の『ワールドプロレスリング』を観てました。
―― 一番プロレスを観てたのは、いつくらいですか。
松之丞 中学ですね。中学の頃は趣味がプロレスしかなかったです。小・中と『スラムダンク』ブームでバスケをやってましたけど、僕の癒しになっていたのはプロレスだけ。というのは、当時はマイケル・ジョーダンとか、マジック・ジョンソンとか、NBAブームがすごかったんですけど、情報がほとんどないわけです。うちは地上波しか観れなかったんで、試合の中継が観れるわけでもなかったし、ネットもない。かろうじて雑誌で情報集めてましたけど、人ってそれじゃなかなか心が動かないんですよ。動かないジョーダンでは。
―― そうですよね(笑)。
松之丞 だからテレビで観られるプロレスに行ったんです。しかも、あの時期のプロレスは面白かったですから。