「チケットが取れない」が、もはや枕詞となった人気講談師の神田松之丞さん。家ではずっとテレビを観ていたという、そのテレビっ子ぶりに、てれびのスキマさんが迫ります。全3回の前編は、性の目覚め『ギルガメ』の話から、今年4月の『ENGEIグランドスラム』出演の裏話まで!(全3回の1回目/#2#3へ続く)

新宿・末廣亭の前で

じいさんとばあさんが『ガキ使』つけながら寝ていた

―― 松之丞さんといえば、ラジオ好きなのはよく知られていますが、テレビはいかがでしたか?

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松之丞 意外にかたい家族だったのかもしれないですけども、「『笑っていいとも!』を観るな」って言われましたね、昔。

―― 『笑っていいとも!』を?

松之丞 ちょうど僕が子供の頃は、ダウンタウンさんとかウッチャンナンチャンさんとかが出てたくらいなんですよ。やっぱダウンタウンさんが前にグイグイ出てて。子供心になんかちょっと、空気が違うなみたいな感じはしましたよね。よく言われることですけど、ダウンタウンが、時代を作って、変えていった。だから、僕の時代はテレビは全盛だったと思う。なにをもって全盛というかわからないですけど、一番の娯楽でしたね。とんねるずがいたりとか、ダウンタウンがグワーッと隆盛していく道を子供ながらに追って一緒に観てた。楽しかったですね。

 

―― テレビはお茶の間にあって、みんなで観ていたんですか?

松之丞 祖父と祖母も同居していたんですけど、それは別の部屋で観てましたね。小学生の時に、じいさんばあさんの部屋から、『ガキの使い』のトークが流れてきたんです。じいさんもばあさんも耳悪いので結構な大音量で。えっ?これ、じいさんばあさん観てるのかよって思って部屋開けたら、老人ふたり寝てたんですよ。

―― 電気つけたまま。

松之丞 そう。前の番組を観ながら寝ちゃって、そのまま『ガキ使』になってたんでしょうけど、なんかね、すごいシュールな光景でしたよ(笑)。松本人志と浜田雅功が一生懸命ボケてツッコんでる中、老人ふたりがうつ伏せで寝てましてね。死んだんじゃねぇかって思うぐらい、ぐっすりと。

 

―― 松之丞さんはダウンタウンにどんな印象を持っていたんですか?

松之丞 松本さんについては、子供ながらに圧倒されちゃう感じでしたよね。スターというか……、昔のテレビにはそういう「手の届かないスター」がいる空気がありましたよね。今だってテレビの影響力はまだ大きいのに、若干、小バカにされているメディアになってきていませんか。なんかそれがね、寂しいというか。