「意味のないことをずっとやらせるということ自体がプロレス界の縦社会の象徴なんだ。だからさあ、プロレスっていちばん盛り上がってる時期から比べると衰退していってるだろ?」

 プロレスリング・ノア所属の人気レスラーOZAWAはなぜプロレス業界の現状を危惧するのか? 後編では、「プロレス業界が衰退している理由」「優秀な人材が入ってこない実情」について語ってもらった。プロレス界のレジェンドOBから現役選手まで、さまざまなレスラーに「道場論」について直撃した、新刊『逆説のプロレス(25)』(双葉社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/最初から読む)

人気レスラーのOZAWA氏(撮影:笠井浩司/KKフォトグラフ)

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なぜ無駄なスクワットを強制するのか?

OZAWA 2つめは「自分もやってきたし、自分の上の人もやってきたから」という同調圧力的な思考だ。そして、3つめはなんだと思う?

――皆目、見当もつきません。

OZAWA これは俺も、にわかには信じられないんだが、「まったくなにも考えていない層」っていうのもいると思う。

――なにも考えてない層ですか!?

OZAWA そう。そんな3パターンによって、プロレス界はスクワットを伝統化させ続けている。

――清宮コーチはどのタイプだったんですか?

OZAWA 清宮本人が基礎体推奨派であり、昔からの考えにリスペクトを持っていた人間だから、もう毎日のようにスクワットをやっていたな。練習生時代、受け身をはじめとするすべてを俺に教えたのはそんな清宮だったんだが。

2025年1月1日、日本武道館。メインで清宮の持つGHCヘビー級王座に挑戦。観客を味方につけたOZAWAは、大変貌を遂げた闘いぶりで「ずっと嫌いだった」清宮を愚弄 ©プロレスリング・ノア(『逆説のプロレス25号』掲載写真)

――清宮コーチの課した練習は、納得できるものだったんですか?