「昔と変わらない」と言われるためには、どんなスキンケアが必要なのか。「情熱大陸」(TBS系)の出演でも話題の、京都大学大学院教授の椛島健治氏が、皮膚の重要性とケアについて詳しく解説した記事「最高のスキンケア」から、一部を紹介します。

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 よく「40歳を過ぎたら自分の顔に責任をもて」と言われますが、たとえば社会的な地位が上がり、人前に立つ機会が増える中高年期ともなれば、疲れた見た目では信頼を失いますし、顔色が悪ければ周りに気を遣わせてしまいます。

 最近は写真を撮られることも多く、リモート会議ではパソコンに顔が大きく映し出され、人から見られる機会は増えています。皮膚は老いとともに否応なく弱まっていくので、気づかぬうちに乾燥によるひび割れや、かゆみによるかき傷などが生じ、見た目に影響している場合もあります。そうした状態ではウイルスや細菌の侵入も許しかねません。

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 年齢を重ねていくほどに、他の臓器と同じように皮膚に関心を持つことは大切です。臓器のなかでも唯一、直に触れられるからこそ、自身でできるケアはたくさんあります。しかもちょっと気を付けるだけで「昔と変わらないね」と言われるほど肌の健康に差がつくのです。

京都大学大学院教授の椛島健治氏

今日からできる! 8大スキンケア

 皮膚の働きのなかでもっとも重要なのが、バリア機能です。

 バリア機能を保つ前提として、物理的な刺激と乾燥を避けることが必須です。皮膚のもっとも外側にある角層は、角層細胞がミルフィーユのように何層も重なったもので、厚さはわずか0.02mm。食品用ラップ1枚分ほどの薄さしかありません。そのためテープを皮膚につけてベリッと剥がすと、簡単に角層が剥がれてしまいます。

 

 これを10回ほど繰り返すと、表皮があっという間に傷つき、さらに10回ほど続けると、真皮にまで達して出血します。血管は表皮ではなく真皮に通っているからです。皮膚は傷つきやすい一方で、修復は容易ではありません。ターンオーバー(新陳代謝)により、基底層で生まれた細胞が押し上げられて角層となり、最終的に垢として剥がれ落ちるまでには約1カ月を要します。

 一方、真皮はとても丈夫にできています。真皮の厚さは表皮の10~20倍ほどで2mm前後。バッグや靴など私たちが手にする革製品の多くは、動物の堅い真皮を利用して作られています。

 このなかで、私たちが直接ケアできるのは角層です。日常生活で簡単にできるケアをご紹介しましょう。