生まれつき両腕がなく、短い両足と計4本の指という“四肢欠損”で生まれた佐野有美さん(35)。2020年に第一子を出産し、独自の工夫で家事や育児をこなしている佐野さんに対して誹謗中傷をする人がいることを明らかにした文春オンラインの記事が注目を集めている。

2020年に第一子を出産した佐野有美さん(右が本人、写真提供=本人、以下同)

授乳に調理……足を使って器用に家事育児をこなす

 佐野さんは床に埋め込み式のシンクを設置したキッチンや、足元に設置した電気スイッチなど、自宅を特別仕様に改装している。また、妊娠前から社会福祉協議会や子育て支援センターで受けられる支援を確認し、保健センターで赤ちゃんの人形を借りて練習を重ねるなど、綿密な準備を行っていた。

 もともと足を使って文字を書いたり食事をしたりするトレーニングを幼少期から積んできた佐野さん。出産後も、夫を含む家族と協力しながら足を器用に使って育児に奮闘しており、その姿を“四肢欠損ママの日常”として発信している。

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足を使って授乳する様子

SNSで「障害者が子どもを産むな」と誹謗中傷も

 一方で、佐野さんの育児動画がXで拡散された結果、「障害者なのに子どもを産むな」「産んだことがもう虐待」といった誹謗中傷が押し寄せた。

 しかし、佐野さんはこうした声にめげず「自分には何ができて、どんな助けが必要か、こちらから発信しなければわからないから」と話し、今後も積極的に情報発信を続けていくという。

「幸せになってほしい」「外野がとやかく言うことじゃない」

 Yahoo!ニュースのコメント欄では、佐野さんや家族を応援する声が目立った。

「生活できてるならいいじゃないか! 手助けしてくれる人がいたら最高じゃないですか! キチンと頑張って最高ですよ」

「周りの声や視線などは、まだまだ日本では厳しい面も多々あるとは思いますけど、そんなもの気にせず、跳ね返すくらいの笑顔で生活していって欲しいですね」

「一言では語れない厳しい中、努力をされた事に頭が下がる思いです」

 佐野さんに対する心ない誹謗中傷に対して、厳しいコメントも集まった。

「外野がとやかく言うことじゃないんだよ。本人たちは何十倍も考えて考えて子供を産む決断をしたはず」

「本人たちが話し合って納得して決めたことを無関係の他人が余計な口出しをすることじゃない」

「こんな心の無い言葉は、どこから出てくるのだろう。人としての心を失っている」

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 佐野さんのインタビュー全文は、以下のリンクからお読みいただけます。

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