きょう9月23日に40歳の誕生日を迎えた後藤真希。中学2年生でモーニング娘。に加入、「LOVEマシーン」での金髪姿で衝撃を与えると、およそ3年の在籍期間をへて17歳でグループを卒業する。ソロ転身後には多くの岐路に立たされたが……。(全2回の2回目/はじめから読む)

9月23日に40歳の誕生日を迎えた後藤真希 ©時事通信社

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 モーニング娘。(モー娘。)時代に多忙をきわめた後藤真希のなかで、心の支えとなっていたのは、ファンの存在であったという。ソロに転身後も、悪化した腰のヘルニアを押してライブに出演しなければならず、痛み止めの効かない日もあったが、それでもステージに上がっているときはファンの声援のおかげで痛みを忘れることができたという。

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 ファンたちとはモー娘。としてデビュー以来、握手会などの公式なコミュニケーションの場のほか、仕事を離れたところでも親密に交流してきた。後藤にはクールで、どこか近寄りがたい雰囲気があったので意外な気もするが、地元の東京・江戸川で母がやっていた居酒屋にはしょっちゅうファンが客として集まり、後藤もちょこちょこ顔を出していた。そうやって見知ったファンをライブ中にステージ上から来てくれているか確認するのが楽しみだったようだ。

「顔ももちろん覚えるし、性格もだいたいわかってるし」

 普通なら、アイドルの実家周辺にファンが近づくなど事務所側が禁止するところで、ありえないことだろう。それが後藤の場合、モー娘。時代に地方へ移動するときなどは警備員がついていたとはいえ、駅や空港で待っていたファンが手紙を渡すのを止められそうになると、彼女自ら「あ、大丈夫です」と言って受け取っていたとか。

 本人いわく《長い期間ずっと来てくれるファンの方だと顔ももちろん覚えるし、性格もだいたいわかってるし、この人がもし危険だとか言われても、「いや、そういう人じゃないんです」みたいなのはわかるし。自分のなかではある程度、そういうのは理解してました》(吉田豪『吉田豪と15人の女たち』白夜書房、2018年)。

後藤真希『マッキングGOLD①』(2003年)

 余談ながら、彼女の愛称として世間一般では「ゴマキ」が定着しているが、本人はそう呼ばれることにずっと違和感があるらしい。そのためファンのあいだではこの呼び方を避け、たいていは「ごっちん」と呼ばれている。

ファンの男性と交際、結婚したいから仕事をやめると宣言するも…

 後藤の著書『今の私は』(小学館、2018年)によれば、現在の夫ももともとは一ファンで、彼女が座長を務めた舞台『横須賀ストーリー』(2007年)を友達と観に来てくれたのがきっかけで仲良くなった。3歳下の彼は、あとから聞いた話では、小学生のころに後藤の実家までサインをもらいに来たことがあったという。

 彼とは後藤から告白して交際が始まったらしい。たびたび来宅するたび家族とも打ち解けた彼は、いつしか実家の一員になっていた。当然、彼女は結婚を考えるようになる。ちょうど、モー娘。時代から所属していた事務所アップフロントエージェンシーをやめたところだった。しかし、家族会議で結婚したいから仕事をやめると宣言すると、母親から「ここまでやったんだから、続けなさい」と猛反対される。