2020年にはYouTubeチャンネルも開設し、登録者数は2025年9月現在、40万を超える。最近、そこでの発言がちょっとした話題になった。それは平成のアイドル史を振り返るトークのなかで、自身が在籍していた頃のモーニング娘。では、のちのAKB48のようにセンターという明確な立ち位置やパート割りはなかったと話していたところ、スタッフの調べた資料では各シングル曲で後藤真希などがセンターを務めたと書かれていると指摘されて驚き、「みなさん、あんまりそういうのを鵜呑みにしないでくださいね。本人たちですらあんまりわかってないですから」と苦笑しながら呼びかけていたことだ(「ゴマキのギルド」2025年6月14日配信)。
この発言を受けて、昨年の「文春オンライン」の記事で「LOVEマシーン」について書いていた筆者も慌てて確認したところ、「センターを務めた金髪の少女」と思い切り書いていた。その点はお詫びして訂正したい。たしかに改めて記憶をたどると、センターというのはやはりAKB48が出てきて以降にアイドル界に定着した呼び方で、後藤が在籍した頃のモー娘。では使われていなかったはずである。ただ、グループアイドルについて説明する上では便利なので、AKB48以前にもさかのぼって使われるようになったのだろう。
先のYouTubeでの後藤のトークで、筆者が例の発言以上に印象に残ったのは、彼女がAKB48における選抜総選挙などでの熾烈なセンター争いについて、モーニング娘。やハロー!プロジェクト(モー娘。などのアイドルが所属する集団)にそういうシステムがなくてよかったと胸をなで下ろしていたことだ。
“ライバル”とされた安倍なつみへの意識は…
そこで思い出すのは、「LOVEマシーン」からモーニング娘。に入った後藤が、結成以来グループのシンボル的存在だった安倍なつみと、メディアではとかくライバルと書かれがちだったことだ。これについて一方の当事者である安倍は、後藤が入ってきたとき「この子には負けたくない」と思ったと認めた上、そんな自分の気持ちをよそに当の後藤はマイペースでつかみどころがなく、それでいてほかのメンバーにないものを持っているのがうらやましかったと、のちにインタビューで明かしている(『モーニング娘。20周年記念オフィシャルブック』ワニブックス、2018年)。
ただ、大きな衝突はなかったし、実際には仲が良くて、プライベートでもよく遊んでいたという。それがその後、後藤が安倍に先んじてソロ歌手としてデビューしたために、2人のあいだに微妙な空気が流れたらしい。それでも後藤のほうは安倍に対しそれほどライバル意識を持つことはなく、《と同時に、大人の事情で決められたことだから仕方ない、と不思議なくらい冷静に考える自分がいた》と振り返る(前掲、『今の私は』)。
こうした発言から察するに、おそらく当人たちからすれば、ことさらにライバルと見られることは本意ではなかったはずだ。そもそも資質はまったく違う。後藤が一貫して、アイドルと呼ぶにはエッジの立った存在であり続けるのに対し、安倍はアイドルの王道を歩み、モー娘。卒業後は舞台をメインに活動するようになった。夫はいずれも年下だが、片や元ファンの一般人、片や俳優の山崎育三郎と、ここでも好対照を成す。
ただ一つだけ、現在、子育ての真っ最中である点は共通する。2人とも40代に入ったことでもあるし、そろそろ一緒に落ち着いて話をするのを聞いてみたいところではある。
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