自民党と旧統一教会の関係は…「文鮮明を入国させろと騒いでいた」

 また、政治、特に自民党との関係にも焦点が当たっている。立憲民主党の小沢一郎衆院議員は韓鶴子氏の逮捕を受け、今回の自民党総裁選のテーマとすべきだとSNSで訴えた。自民党と旧統一教会の関係は長い。

 外務省の元幹部は1970年代、旧統一教会の創始者、文鮮明氏が日本で合同結婚式を企画した際の騒ぎを覚えている。外務省には信者の両親などから連日、「結婚式を止めさせてくれ」という陳情が入った。元幹部は法務省に出向き、「外務省は合同結婚式に反対だ。文鮮明氏の日本入国に反対する」と伝えた。協議をしていると、法務大臣室から電話が入った。法務省の担当者は「自民党の国会議員が5人くらい大臣室に来て、文鮮明を入国させろと騒いでいた」と教えてくれたという。

「国民の力」旧統一教会信者の集団入党疑惑

 一方、旧統一教会は韓国ではひっそりと生きてきた。統一教会は韓国では異端扱いを受けてきたからだ。ただ、2012年に文鮮明氏が死去すると、妻だった韓鶴子氏や10人以上いる子どもらとの間で権力闘争が起きた。そのころから、政治に接近し、競争相手に対する告発合戦などを繰り広げていたという。

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 さらに2022年7月、安倍晋三元首相銃撃事件を契機に、日本で旧統一教会への取り締まりを求める声が急増したことで、教団側に危機感が生まれた。当時の尹錫悦政権に接近したのも、当初は韓鶴子派の権力維持が目的だったが、途中から教団の生き残りが目的になっていったようだ。

 そして、韓国で韓鶴子氏逮捕が大きく注目されている背景には、世論が一連の捜査について、与党「共に民主党」による「国民の力」潰しだとみている事情がある。韓国・聯合ニュースは、特別検察官が「国民の力」に対し、旧統一教会の信者を集団入党させた疑惑を持っていると報道。「(特別検察官チームが)信者120万人の名簿と、約500万人の党員名簿を照らし合わせ、約11万人の同一人物を確認したとされる」と伝えた。

 与党「共に民主党」の鄭清来代表は19日の党内会議で、「国民の力」に対する旧統一教会の関与が明らかになれば、政党解散は避けられないと強調した。