――何でも自由にやっていいよと言われるのは、別にそこまでうれしくはないですか。
藤井 まあ、うれしいにはうれしいですけど、それこそが至高だ、みたいなことでは全然ないかな。
キャリアの転機となった『水曜日のダウンタウン』
――藤井さんの中で、転機になった仕事は何でしたか?
藤井 やっぱり『水曜日のダウンタウン』が一番大きいんじゃないですかね。それまで作っていた番組もあんまり本質的には変わらないと思うんですけど、ダウンタウンさんとやったことによってちょっと注目されやすくなったと思います。
あと、ご本人たちの意見を聞けたのも大きかったですかね。今でこそあんまりないですけど、最初のうちは多少なりとも「もうちょっとこうしたほうがいいんじゃない?」とアドバイスをいただいて、その結果、王道なところに一回近づいたというか。
――王道。
藤井 自分ではど真ん中を歩くつもりもなく、どちらかといえば王道からちょっと外れているものが好きな自覚もあったので。今も別に『水曜日のダウンタウン』をはじめとしてど真ん中っぽいものを作っている気持ちもないんですけど。結果王道に図らずも近づいたのは、ダウンタウンさんとご一緒したことで、外から見れば注目されたというのもあるし、自分だけではそうならなかったかもなとも思うので。結果として作っているものが変わらなくても。
――なるほど。
藤井 王道というか、業界のわりと真ん中っぽいところに来たじゃないですか。そんなつもりさらさらなかったんですけど。
――それは以前のインタビューでもおっしゃっていました。『水曜日のダウンタウン』が王道になるのはたぶん間違っているんだけど、というような。でも結果的にダウンタウンさんの番組の中で一番王道じゃない感じになっている。
藤井 そうですよね。結果、わりと。
――スタート前、ダウンタウンさんに番組内容を話した時に、松本さんが「VTRが面白くなかったらそこからのリカバリーが難しい」と当初難色を示されていたとも伺いました。そこをVTRの面白さでちょっとずつ分かってもらったと。
藤井 VTRだけをやりたいわけでもなかったんですけど、何となくそういう流れになったんですよね。そこは別に僕が強く意図してというわけではなく。
――『水曜日のダウンタウン』はやっぱりすごい番組だなと思います。これだけずっとSNSで盛り上がる番組って本当にない。
藤井 そうなんですかね。まあ10年以上もやるとは思ってなかったです。
――思ってなかったですか。
藤井 思ってなかったんじゃないですかね。別に長く続けてやろうと思ってやってるわけじゃないし。特に目標とか持ってやらないですもんね。たぶんそれが普通だと思いますけど。毎回を面白くしようとは当然思っていますけど、それの先に何か大きな目標があるというわけじゃないじゃないですか。

