「予習や復習が必要な教科は全然ダメ」勉強は得意ではなかった

――科学を好きになったきっかけは?

でんじろう テレビ番組が大きいかもしれません。「宇宙へ行ける」「立体高速道路ができて車が空を飛ぶ」とか、未来が夢のように描かれていて、『鉄腕アトム』のようなロボットアニメもありました。どれも子どもにとっては「すごい!」とワクワクさせられる内容ばかりでした。

 あと当時は、国が科学教育を重視しはじめていた時代で、理科の授業も本格的にやるようになって。授業でやる実験が楽しくて、科学への興味が一気に広がっていきました。

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 僕は人見知りな性格で、学校が終わるとすぐに帰って、ひとりで遊ぶのがとにかく好きだった。野山で山菜やキノコを採ったり、鳥やウナギの罠を仕掛けたり、科学はそういった遊びの延長線上にあるように感じられたんですよね。「これ作れないかな?」「これで遊べるかな?」と考えるのが楽しくて、科学の本を読んだり、どんどんのめり込んでいきました。

自然の中で育ち、その中で遊ぶのが好きだったという(写真提供=本人)

――理科を含め、勉強全般は得意だったのでしょうか?

でんじろう 得意ではなかったです。授業は聞いていましたが、勉強の習慣がなくて家で教科書を開くなんて考えもしなかった。成績も、理科のように興味がある科目以外は、普通かそれ以下くらい。遅刻が多かったので、放課後に残されることもしょっちゅうでした。

 夏休みの宿題も手がつかず、後半になって慌てて埋めようとするけれど間に合わない。だから新学期が始まるのがすごく憂鬱で。

――中学校でも勉強は苦手なままで?

でんじろう そうですね。小学生のときに勉強の習慣がつかなかったので、中学でも授業を聞けばわかる科目だけはそれなりにできましたが、予習や復習が必要な教科は全然ダメ。

 とくに英語が苦手で、何をやってるかわからないまま3年間が過ぎました。英語のテストは、選択肢に当てずっぽうで丸をつけて、当たったらラッキーみたいな感じ。模試でたまたま50点くらい取って、先生に「やればできるじゃないか!」と褒められたけど、「いや、何もやってないんだけどなぁ」って思っていました。

勉強ができなさすぎて、1学期から親が呼び出された

――勉強はあまりしない分、部活に力を入れていたとかは?

でんじろう 科学クラブに入ってはいましたが、部員は4~5人程度、顧問の先生が運動部との掛け持ちのほとんど放任状態。だから週に何回か理科室に集まって「なんかおもしろい実験でもやる?」みたいな軽いノリで、部活とも呼べないようないい加減な集まりでした。とにかくだらだらと日々を過ごしていましたね。

――高校受験はどうでしたか?

でんじろう 僕が受験したのは田舎の高校で、人数も多くて学力の幅がとにかく広かったんです。なので、成績が下の方でも入ることはできました。でも高校に入ったところで勉強せず、1年生の1学期に英語でさっそく赤点を取って、母が学校に呼び出されました。