日本全国で「酷暑」が続いている。各地で35度以上の猛暑日となった19日は、1日で2600人以上が救急搬送されて10人が死亡した。全国の学校では学校行事の最中に熱中症の症状を訴える子どもが相次ぎ、17日には愛知県豊田市で小学1年生の男児が学校で意識を失い、搬送先の病院で亡くなる痛ましい事故が起こった。
急激に進む「酷暑」化の対応に全国の自治体が苦慮している。関連する発言を集めてみた。
太田稔彦 愛知県・豊田市長
「当時はこれで様子を見ようという判断で適切だったが、こういう事態があったので見直す」
朝日新聞デジタル 7月18日
男児の死亡事故が発生した17日の豊田市内の最高気温は37.3度で、朝から高温注意情報が出されていた。校外活動を終えて「疲れた」と異常を訴えた男児を教室の一角で休ませたが、体調が急速に悪化して20分後に意識を失った。男児がいた教室にはエアコンがなく、4台の扇風機しか設置されていなかった。
熱中症に詳しい三宅康史・帝京大病院高度救命救急センター長は「子どもは暑い場所に長くいるのはよくない。単に日陰でなく冷房のきいた場所で『質のいい休憩』が必要」と訴えるが(毎日新聞 7月19日)、そもそも学校にエアコンがないのだから「質のいい休憩」は望めない。
豊田市内の小中学校と特別支援学校計104校には、一部の特別教室を除いて扇風機しかなかった。太田稔彦市長は定例会見で「当時はこれで様子を見ようという判断で適切だったが、こういう事態があったので見直す」と話し、小学校の教室のエアコン設置工事を前倒しで進める方針を決めた。これまでの計画では、小学校は2020、21年度にエアコンの設置を終える予定だったという。
男児が熱中症で死亡したことを受け、文部科学省は19日までに全国の教育委員会や大学などに、熱中症対策の徹底を要請する事務連絡を出した。文科省は、気象庁や環境省が発表する情報に留意した上で教育活動を実施し、場合によっては中止や延期を検討するよう求めている(共同通信 7月19日)。
宮城県名取市では18日、校庭で市制60年を記念する人文字の撮影後に38人の児童が熱中症の症状を訴えて病院に搬送された(朝日新聞デジタル 7月18日)。もうこういうくだらない行事はなくなるに違いない。